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微生物学
細菌の共食いを制御する回路

MICROBIOLOGY:
The Circuit Controlling Bacterial Cannibalism

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2006, Issue 323, pp. tw67, 21 February 2006.
[DOI: 10.1126/stke.3232006tw67]

生育条件が非常に過酷になり、食物供給が危険なまでに少なくなると、胞子形成細菌は思い切った手段に出て、環境的危機を生き延びられる休眠細胞または胞子を形成する。しかし、この過程は時間やエネルギーの面で高くつき、すぐに元に戻すことはできない。Ellermeierらは、ある集団の一部の細菌がその集団内の他の細菌細胞を共食いし、それらを食料源として用いて、胞子形成へのコミットメントを遅らせることを可能にする巧妙なシグナル伝達機構について述べている。飢餓細胞の約半数が、SpoOAと呼ばれるマスター調節因子を活性化し、このSpoOAが次にsdpABCとして知られる多重遺伝子オペロンからの転写を増加させる。1つの遺伝子は毒素(SdpC*)をコードする。排出された毒素は細胞を死滅させるが、そのことから恩恵を得るためには、毒素生成細胞は毒素抵抗性である必要がある。遺伝学的解析により、SdpC毒素は2つの機能を有することが示された。すなわち、標的細胞を死滅させるが、リガンドとして機能して保護される細胞においてSdplと呼ばれる膜受容体タンパク質を活性化する。Sdplも変異解析で分離可能な2つの機能を有するようであった。ひとつは毒素に対する免疫を細胞に付与することであり、もうひとつは膜において自己転写抑制タンパク質を隔離する(したがって、核における転写抑制因子の作用を軽減する)ことである。調節ループを閉じることにより、この転写抑制因子は、Sdpl受容体をコードする遺伝子だけでなく、それ自身の遺伝子も含む「免疫オペロン」を制御した。このフィードバック系は、生存細胞が必要に応じてちょうど十分な量の免疫タンパク質Sdplを生成するのを可能にするのではないかと著者らは提案している。SpoOAがなければ、転写抑制因子が免疫オペロンを不活性な状態に保つために、栄養の欠乏によりSpoOAマスター制御因子を不幸にも活性化できなかった細胞は、この系の恩恵を受けない。

C. D. Ellermeier, E. C. Hobbs, J. E. Gonzalez-Pastor, R. Losick, A three-protein signaling pathway governing immunity to a bacterial cannibalism toxin. Cell 124, 549-559 (2006). [PubMed]

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