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免疫学 二つの役割を持つコアクチベーター

IMMMUNOLOGY:
Double-Duty Coactivator

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2006, Issue 337, pp. tw176, 30 May 2006.
[DOI: 10.1126/stke.3372006tw176]

要約 : タンパク質OCA-B(B細胞由来Octコアクチベーター、OCT結合因子-1を略してOBF-1、ならびにBob1としても知られる)は転写コアクチベーターである。そのため、SiegelらがOca-b-/-マウス由来細胞におけるB細胞発生を探った際に、彼らがチロシンキナーゼSyk[B細胞受容体(BCR)およびプレBCR(B細胞発生のプレB細胞期に形成されるBCRのバリアント)からのシグナル伝達を仲介する]のOCA-Bの含有量に対する主な作用が、転写メカニズムではなくOCA-BとSykとの直接相互作用を介して調節されることを発見したことには驚いた。Oca-b-/-動物の解析により、OCA-BはプレB細胞の発生において機能することが示された。Oca-b-/-プレB細胞は、インターロイキン7に曝露すると増殖が亢進し、その他の性質もプレBCRによるシグナル伝達の欠損と矛盾しなかった。この結果は、一部はSykの欠損によるものであると考えられた。Syk mRNAの含有量は減少したが、OCA-BはSykプロモーターの予測される結合部位を占有しないと考えられることから、著者らは非転写性の調節様式を推測した。Sykタンパク質の安定性はプロテアソーム依存性の分解を介して調節され、免疫ブロット法により、BCRを介してB細胞を活性化したり、シクロヘキシミドに曝露してタンパク質合成を阻害したりするとSykの安定性が低下することが示された。Sykは脾細胞由来OCA-Bとともに免疫沈降し、GST(グルタチオンS-トランスフェラーゼ)でタグ付加したSykおよび細菌において発現させたOCA-Bを用いたin vitro結合アッセイにより、これら2つのタンパク質が相互作用することが示された。内在性タンパク質の相互作用は、ヒトバーキットリンパ腫B細胞株における免疫沈降研究でも明らかになった。以上より、OCA-BはB細胞発生とBCRシグナル伝達を調節するという2面性を有するのではないかと著者らは提案している。当初報告された役割では、このタンパク質は細胞シグナル伝達に関与する遺伝子の発現を調節する。今回の新たなデータにより、このタンパク質は細胞質においてSykと相互作用し、BCRからのシグナルを伝達できるようにキナーゼを安定化することで、BCRシグナル伝達を促進する役割もあるのではないかと考えられる。

R. Siegel, U. Kim, A. Patke, X. Yu, X. Ren, A. Tarakhovsky, R. G. Roeder, Nontranscriptional regulation of SYK by the coactivator OCA-B is required at multiple stages of B cell development. Cell 125, 761-774 (2006). [PubMed]

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