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転写 PHDはヒストンの合図を認識する

TRANSCRIPTION:
PHDs Recognize Histone Cues

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2006, Issue 343, pp. tw223, 11 July 2006.
[DOI: 10.1126/stke.3432006tw223]

要約 : 活性化している遺伝子は、会合しているクロマチンタンパク質が共有結合性の修飾を受けているので、細胞タンパク質によって検出することができる。とりわけ、ヒストンH3のリジン4の3重メチル化(H3K4me3)は、活性化しているすべての遺伝子に見られる。この修飾をもつヒストンは、H3K4me3と優先的に結合するクロモドメインを含むタンパク質により認識される。今週号のNatureの4報の論文は、PHDドメイン(植物ホメオドメイン)がH3K4me3を特異的に認識するもうひとつのタンパク質ドメインであることを明らかにしている。Wysockaらは、NURFと呼ばれるヌクレオソームリモデリング因子のサブユニットであるBPTFタンパク質のPHDドメインが、トリメチル化H3を含むクロマチンにこの因子をリクルートすることを示している。ヒストン修飾の阻害(メチル化に必要な因子に対するモルフォリノオリゴヌクレオチドをアフリカツメガエル(Xenopus)胚に注入することで達成される)、あるいはBPTFの枯渇によって、同じような発生過程の欠損が引き起こされるので、この相互作用は機能的に重要なようである。さらに、この欠損は野生型BPTFにより回復したが、PHDドメインが切り取られたBPTFでは回復しなかった。また、Shiらは、PHDドメインが哺乳類細胞においてもメチル化ヒストンH3の認識に重要であることを突き止め、がん抑制タンパク質ING2(成長阻害因子2)が、リジン4がジメチル化またはトリメチル化されたヒストンH3と優先的に結合したと報告している。次に、ING2は他の会合タンパク質を含むより大きなヒストン脱アセチル化酵素複合体と相互作用する。この脱アセチル化酵素は近傍のヒストンを修飾し、それによって転写を抑制する可能性がある。この著者らは、DNA損傷に応答してING2含有ヒストン脱アセチル化酵素複合体がサイクリンD(細胞増殖を促進するタンパク質)をコードする遺伝子に会合し、サイクリンDの転写が減少することを突き止めた。ING2の欠失によって、培養細胞のDNA損傷に対する感受性が低下し、その感受性は細胞に野生型ING2をトランスフェクションすることにより回復したが、メチル化ヒストンH3と結合できない変異ING2では回復できなかった。他の2報の論文は、PHDドメインとメチル化ヒストンH3との相互作用の構造的側面について詳述している。Beckerは、これらの知見についてNews and Viewsで考察している。

J. Wysocka, T. Swigut, H. Xiao, T. A. Milne, S. Y. Kwon, J. Landry, M. Kauer, A. J. Tackett, B. T. Chait, P. Badenhorst, C. Wu, C. D. Allis, A PHD finger of NURF couples histone H3 lysine 4 trimethylation with chromatin remodelling. Nature 442, 86-90 (2006). [Online Journal]

X. Shi, T. Hong, K. L. Walter, M. Ewalt, E. Michishita, T. Hung, D. Carney, P. Pena, F. Lan, M. R. Kaadige, N. Lacoste, C. Cayrou, F. Davrazou, A. Saha, B. R. Cairns, D. E. Ayer, T. G. Kutateladze, Y. Shi, J. Cote, K. F. Chua, O. Gozani, ING2 PHD domain links histone H3 lysine 4 methylation to active gene repression. Nature 442, 96-99 (2006). [Online Journal]

H. Li, S. Ilin, W. Wang, E. M. Duncan, J. Wysocka, C. D. Allis, D. J. Patel, Molecular basis for site-specific read-out of histone H3K4me3 by the BPTF PHD finger of NURF. Nature 442, 91-95 (2006). [Online Journal]

P. V. Pena, F. Davrazou, X. Shi, K. L. Walter, V. V. Verkhusha, O. Gozani, R. Zhao, T. G. Kutateladze, Molecular mechanism of histone H3K4me3 recognition by plant homeodomain of ING2. Nature 442, 100-103 (2006). [Online Journal]

P. B. Becker, Gene regulation: A finger on the mark. Nature 442, 31-32 (2006). [Online Journal]

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