• ホーム
  • 細胞骨格 細胞形態の調節におけるIKKとカスパーゼ

細胞骨格 細胞形態の調節におけるIKKとカスパーゼ

CYTOSKELETON:
IKK and Caspases in Regulating Cell Shape

Editor's Choice

Sci. STKE, Vol. 2006, Issue 348, pp. tw274, 15 August 2006.
[DOI: 10.1126/stke.3482006tw274]

要約 : 今週の2本の報告は、ショウジョウバエ(Drosophila)において、IKKファミリーのキナーゼであるIKKε(核因子κB(NF-κB)キナーゼ阻害因子)が、ショウジョウバエのアポトーシス阻害タンパク質であるDIAP1の分解を促進し、DRONCカスパーゼを活性化して、非アポトーシス過程を調節するという証拠を提供している。Kuranagaらは、細胞死の抑制因子のスクリーニングにおいて、キナーゼ活性を欠損するIKKεの変異体を見いだした。IKKεの過剰発現は細胞死を促進したが、IKKεのノックダウンは細胞死を抑制しなかったことから、IKKεは非アポトーシス性機能を有するのではないかと考えられた。IKKεは、S2細胞においてDIAP1のリン酸化と分解を促進した。これら2つのタンパク質は、S2細胞から免疫共沈したが、精製タンパク質は物理的には相互作用せず、この相互作用は間接的であると考えられた。翅原基において、アポトーシスがない場合には緩やかなカスパーゼ活性化が検出され、このカスパーゼ活性化はIKKεをノックダウンすると阻害された。Oshimaらは、IKKεの過剰発現がショウジョウバエ胚気管系における上皮の完全な形態の異常を引き起こすこと、そしてこのことは上皮細胞における頂端側Fアクチンの喪失および細胞極性の喪失と関連することを示した。S2細胞では、IKKεの含有量の変化は細胞形態を変化させ、IKKεの低下とともに鋸歯状または星状の細胞の発生頻度が増し、逆行性のFアクチン流動が低下し、IKKεの増加によって膜ラフリングが活性化され、逆行性のFアクチン流動を増大した。気管、感覚剛毛、および触覚棘毛において、IKKεの阻害はこれらの構造の過剰分岐を促進し、このことはアクチン調節の崩壊と一致していた。IKKε、DIAP1、およびDRONCとの間の棘毛表現型において遺伝学的相互作用が観察され、IKKεはカスパーゼを活性化することにより、Fアクチン細胞骨格を調節すると考えられた。このように、これら2つの結果は、IKKを介するカスパーゼの新たな活性化とアクチン細胞骨格の調節におけるカスパーゼの非アポトーシス性機能を明らかにするものである(BergmannとMontellが、これらの結果の意味合いについて論じている)。

E. Kuranaga, H. Kanuka, A. Tonoki, K. Takemoto, T. Tomioka, M. Kobayashi, S. Hayashi, M. Miura, Drosophila IKK-related kinase regulates nonapoptotic function of caspases via degradation of IAPs. Cell 126, 583-596 (2006). [PubMed]

K. Oshima, M. Takeda, E. Kuranaga, R. Ueda, T. Aigaki, M. Miura, S. Hayashi, IKKε regulates F actin assembly and interacts with Drosophila IAP1 in cellular morphogenesis. Curr. Biol. 16, 1531-1537 (2006). [PubMed]

A. Bergmann, IKKε signaling: Not just NF-κB. Curr. Biol. 16, R588-R590 (2006). [PubMed]

D. J. Montell, A kinase gets caspases into shape. Cell 126, 450-452 (2006). [PubMed]

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

バックナンバー一覧へ