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細胞生物学-細孔形成病原体がインフラマソームを活性化する

Cell Biology Pore-Forming Pathogens Activate the Inflammasome

Editor's Choice

Sci. STKE, 26 September 2006 Vol. 2006, Issue 354, p. tw327
[DOI: 10.1126/stke.3542006tw327]

Nancy R. Gough

Science’s STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 病原微生物は、感染過程の一環として、宿主の細胞膜に細孔を導入する。Gurcelらは、Aeromonas由来アエロリジンやStaphylococcus aureus由来α‐毒素などの細孔形成毒素がSREBP(ステロール応答エレメント結合タンパク質)転写因子を活性化し、膜修復を促進することを突き止めた。RNAディファレンシャルディスプレイ解析により、アエロリジンはSREBP-2をコードする遺伝子の発現を上昇させることが示された。実際に、細胞をアエロリジンまたはα‐毒素のいずれかに曝露すると、SREBP-2の活性が上昇した。チャイニーズハムスター卵巣細胞において、アエロリジン曝露はSREBP-1とSREBP-2のタンパク分解によるプロセシングを促進して、これらの膜結合転写因子を小胞体から遊離させ、転写活性フラグメントの核への移行を可能にした。SREBP活性の上昇は、標的遺伝子の発現上昇、および生合成と取り込みの両方の増加を介する細胞総コレステロールの増加によって検証された(低密度リポ蛋白受容体は、SREBP応答遺伝子によってコードされる)。細孔を形成できない変異型アエロリジンのサブユニットはSREBP-2活性を促進できず、SREBP-2の活性化にはK+流出が必要であったが、細胞内カルシウム濃度の上昇は必要でなかった。実際に、細胞をNa+ではなくK+イオノフォアに曝露すると、SREBP-2の活性化が誘導された。細胞内K+濃度の低下は、細胞内パターン認識受容体であるIPAFまたはNALP3のいずれかのサブユニットによるインフラマソームの活性化を介して、カスパーゼ1を活性化することが知られている。RNA干渉(RNAi)を用いてIPAFまたはNALP3インフラマソームのサブユニットをノックダウンすると、アエロリジンに応答するカスパーゼ1とSREBP-2の活性化が低下した。カスパーゼ1の薬理学的阻害またはノックダウンも、SREBP-2活性化を阻害した。SREBP-2はカスパーゼ1によって直接切断されなかったが、その代わりに、カスパーゼ1はSCAP(エスコートタンパク質)とS1P・S2P(SREBPタンパク分解と遊離を担う2つの酵素)が関与する既知のSREBP活性化経路を活性化した。さまざまな薬理学的およびRNAi手法を用いて、著者らは、アエロリジン曝露後の細胞の生存には、インフラマソームであるカスパーゼ1とSREBPの活性化が必要であることを示した。Salehはこれらの結果について論じている。

L. Gurcel, L. Abrami, S. Girardin, J. Tschopp, F. G. van der Goot, Caspase-1 activation of lipid metabolic pathways in response to bacterial pore-forming toxins promotes cell survival. Cell 126, 1135-1145 (2006). [Online Journal]
M. Saleh, Caspase-1 builds a new barrier to infection. Cell 126, 1028-1030 (2006). [Online Journal]

N. R. Gough, Pore-Forming Pathogens Activate the Inflammasome. Sci. STKE 2006, tw327 (2006).

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