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細胞生物学、翻訳開始因子がMadタンパク質を破滅に追い込む

Cell Biology Translation Initiator Drags Mad Protein to Destruction

Editor's Choice

Sci. STKE, 12 December 2006 Vol. 2006, Issue 365, p. tw414
[DOI: 10.1126/stke.3652006tw414]

L. Bryan Ray

Science, Science’s STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 真核生物翻訳開始因子4a(eIF4A)は、翻訳を開始する機能を持つことからその名が付けられたが、新たな証拠により、2種類のショウジョウバエ(Drosophila)シグナル伝達分子であるSMADタンパク質MadとMedeaの含有量に影響を及ぼす独立の役割を担うことが示されている。Li両氏は、eIF4Aのドミナントネガティブ変異体がBMP(骨形成タンパク質、トランスフォーミング成長因子βスーパーファミリーの一員)のハエオルソログであるDecapentaplegic(Dpp)をコードする遺伝子のハプロ不全を抑制することを示した初期の研究結果を探索していた際、この驚くべき結論に導かれた。さらなる遺伝学的解析により、eIF4Aの含有量低下は、胚および成ハエにおいて、Dppシグナル伝達を減少させる変異の補償を助けることが示された。ドミナントネガティブeIF4Aを発現するハエは、Madタンパク質の含有量が上昇していたことから、eIF4A機能の喪失はMadの分解を減少させていたことが示唆された。この概念と一致して、eIF4Aの過剰発現はDppシグナル伝達を阻害し、Madの含有量を低下させた。著者らは、胚抽出物の内因性タンパク質解析を含む各種の共免疫沈降実験を用い、eIF4AのMadとの相互作用を示した。翻訳を阻害するeIF4Aのドミナントネガティブ体を用いた実験により、eIF4AのDppシグナル伝達に対する影響は、この因子の翻訳における役割とは独立であることが示された。それどころか、eIF4Aは、Madの分解を促進してその含有量を制御するユビキチンE3リガーゼDSmurfと相乗的に作用できることが、遺伝学的実験により示唆された。この相乗作用は、eIF4Aが同じプロセスに影響を及ぼすことを示唆しているが、他の実験により、eIF4AはDSmurfと独立してMad含有量に影響を及ぼすことも可能であることが示された。著者らは、eIF4AはSMADタンパク質とタンパク質分解機構を結びつけるアダプターとしての機能を持つのではないかと推測している(AffolterとPyrowolakisがコメントを提供している)。

J. Li, W. X. Li, A novel function of Drosophila eIF4A as a negative regulator of Dpp/BMP signalling that mediates SMAD degradation. Nat. Cell Biol. 8, 1407-1414 (2006). [PubMed]
M. Affolter, G. Pyrowolakis, eIF4A goes beyond translation. Nat. Cell Biol. 8, 1319-1321 (2006). [PubMed]

L. B. Ray, Translation Initiator Drags Mad Protein to Destruction. Sci. STKE 2006, tw414 (2006).

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