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嗅覚、CO2の感知に2つを用いる

Olfaction It Takes Two to Sense CO2

Editor's Choice

Sci. STKE, 9 January 2007 Vol. 2007, Issue 368, p. tw8
[DOI: 10.1126/stke.3682007tw8]

Elizabeth M. Adler

Science's STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 多くの昆虫はCO2を検出することにより、環境に関する重要情報を得る。たとえば、蚊のような血を吸う昆虫は、宿主の位置を特定するために、CO2の跡を辿る。ショウジョウバエ(Drosophila)は、匂い分子ファミリー受容体(他の揮発性化学物質を感知することが知られている)を発現しないが、味覚受容体ファミリーに分類されるGr21aを発現する嗅覚ニューロンのサブセットを介してCO2を検出する(Wilson参照)。Jonesらは、成虫と幼虫の両方のショウジョウバエのCO2感知ニューロンにおいて、二つ目の味覚受容体遺伝子Gr63aGr21aとともに発現することを示した。さらに、Gr21aGr63aの蚊の相同体は、CO2を感知する蚊の器官にあるニューロンのサブセットにおいて、ともに発現していた。通常はCO2に応答しないニューロンにおいてGr21aGr63aを同時に発現させると、これらのニューロンはCO2応答性になるが、いずれの受容体も単独ではCO2感受性を与えるのには十分でなかった。さらに、行動および電気生理学的記録により測定したところ、Gr63aを欠損する変異ハエはCO2に非感受性であった。以上より、著者らはGr21aGr63aの同時発現はショウジョウバエにおけるCO2検出に必要であり、この研究結果は、吸血性の昆虫に対する虫除け剤の開発にとって重要である可能性があるとの結論に達している。

W. D. Jones, P. Cayirlioglu, I. Grunwald Kadow, L. B. Vosshall, Two chemosensory receptors together mediate carbon dioxide detection in Drosophila. Nature 445, 86-90 (2007).[PubMed]
R. I. Wilson, Scent secrets of insects. Nature 445, 30-31 (2007). [PubMed]

E. M. Adler, It Takes Two to Sense CO2. Sci. STKE 2007, tw8 (2007).

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