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生理学:塩を感知してシグナルを送る

Physiology Sensing Salt, Sending Signals

Editor's Choice

Sci. STKE, 10 April 2007 Vol. 2007, Issue 381, p. tw120
[DOI: 10.1126/stke.3812007tw120]

L. Bryan Ray

Science, Science’s STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 生き残るためには、細胞と生物体は、生理学的機能に適合する範囲内にNa+濃度を調節する必要がある。Shimizuらは、会合しているグリア細胞によりニューロンの活性が制御される哺乳動物の脳において、Na+感知が部分的に異常なメカニズムを介して起こることを示している。哺乳動物は、血液脳関門が存在しないので細胞が血液の化学的組成を感知できる脳室周囲器官として知られる特殊な脳構造(特に脳弓下器官(SFO))を介して血中Na+濃度を感知するようである。Naxチャネルとして知られるナトリウムチャネルは、過剰なNa+に対する適切な行動応答に必要である。しかし、これらのチャネルはニューロンでなくアストロサイトにおいて発現している。著者らは、酵母ツーハイブリッドスクリーニングを用いて、Naxの細胞質ドメインと相互作用するタンパク質を検出した。相互作用タンパク質のひとつは、細胞膜ナトリウムポンプ(Na+/K+-ATPase)であることが同定された。NaXを発現する培養細胞において、細胞外Na+濃度の上昇は、Na+/K+-ATPaseの活性上昇を引き起こした。著者らは、NaXとNa+/K+-ATPaseが会合すると細胞のエネルギー代謝に影響を及ぼすのではないかと考え、野生型マウスのSFO由来の切片を過剰の細胞外Na+に曝露すると、NaXを欠損する動物由来のSFO切片では見られないようなグルコース取り込みの増大を引き起こすことを示した。この増強されたグルコース利用は、切片における乳酸分泌の増加を引き起こした。さらに、乳酸は、SFO切片におけるGABA作動性ニューロンの発火頻度を上昇させることが明らかになった。乳酸をニューロンに輸送するトランスポーターの活性が阻害されると、ニューロンに対する影響は低下した。以上より、著者らは、SFOにおけるNa+感知は主要センサーであるグリア細胞に起因し、その後乳酸の分泌により隣接するニューロンにシグナルを伝達するとの結論に達している。Iadecolaによる解説は、ニューロンにおける乳酸シグナル伝達のその他の例や、Na+濃度を抑制するために協調する他の生理学的メカニズムとの関連において、この研究を取り上げている。

H. Shimizu, E. Watanabe, T. Y. Hiyama, A. Nagakura, A. Fujikawa, H. Okado, Y. Yanagawa, K. Obata, M. Noda, Glial Nax channels control lactate signaling to neurons for brain [Na+] sensing. Neuron 54, 59-72 (2007). [Online Journal]

C. Iadecola, Astrocytes take center stage in salt sensing. Neuron 54, 3-5 (2007). [Online Journal]

L. B. Ray, Sensing Salt, Sending Signals. Sci. STKE 2007, tw120 (2007).

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