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アポトーシス
スカフォールドはカスパーゼによる切断に屈する

Apoptosis
Scaffold Succumbs to Caspase Cleavage

Editor's Choice

Sci. STKE, 11 September 2007 Vol. 2007, Issue 403, p. tw323
[DOI: 10.1126/stke.4032007tw323]

L. Bryan Ray

Science, Science’s STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : マイトジェン活性化プロテイン(MAP)キナーゼファミリーのERK(細胞外シグナル制御キナーゼ)メンバーの活性化は、細胞生存シグナル伝達と関連する。アポトーシスを受けるように刺激された細胞では、このような生存シグナル伝達はしばしば失われている。McKay&Morrisonは、アポトーシス細胞において、ERKシグナル伝達が遮断される分子メカニズムに関する洞察を行っている。Rasキナーゼ抑制因子1(KSR1)として知られるタンパク質は、逐次的活性化のカスケードに関与して最終的にERKのリン酸化と活性化を促進する複数のキナーゼをまとめることにより、ERK活性化に寄与するスカフォールド(足場)である。著者らは、KSR1がMEK(MAPキナーゼまたはERKキナーゼ)に結合するC末端ドメインを、ERK(MEKの基質)に結合するN末端ドメインと複合体全体の細胞膜へのターゲッティングを仲介するドメインから分離することにより、KSR1の足場機能を効率的に破壊すると予想される特徴的なカスパーゼ切断部位を持つことに着目した。エピトープタグを付加されたKSR1は、KSR-/-マウス胚線維芽細胞において発現させ、その細胞を腫瘍壊死因子αとシクロヘキシミドを用いた処理によってアポトーシス刺激すると実際に切断を受けた。KSR1のN末端フラグメントはさらに分解されるようであったが、KSR1のC末端フラグメントはアポトーシス細胞に蓄積することが免疫ブロット法により示された。このフラグメントは、ドミナントネガティブ阻害因子として作用する可能性があり、このフラグメントをKSR1-/-細胞において発現させたところ、アポトーシスシグナル伝達の増大と活性リン酸化型のERKの存在量の減少をもたらした。一方、切断抵抗性KSR1をノックアウト細胞において発現させたところ、活性化されたERKがより多く蓄積し、アポトーシスシグナル伝達の低下が起こった。また、KSR1の切断は、アポトーシスの天然モデル(縮退する乳腺)においても観察された。著者らは、カスパーゼ依存性のKSR1の破壊は、ERK活性化を促進するスカフォールドを除去し、同時にERK活性化の阻害因子を生成することにより、細胞の生存シグナル伝達にワンツーパンチを放つのではないかと述べている。

M. M. McKay, D. K. Morrison, Caspase-dependent cleavage disrupts the ERK cascade scaffolding function of KSR1. J. Biol. Chem. 282, 26225-26234 (2007). [Abstract] [Full Text]

L. B. Ray, Scaffold Succumbs to Caspase Cleavage. Sci. STKE 2007, tw323 (2007).

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