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代謝
長く貧しい人生か、短くても甘い人生か?

Elizabeth M. Adler

Editor's Choice

Sci. STKE, 9 October 2007 Vol. 2007, Issue 407, p. tw358
[DOI: 10.1126/stke.4072007tw358]

Elizabeth M. Adler

Science's STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 哺乳類を含む多くの多細胞真核生物において、カロリー摂取量の削減は寿命の延長と関連がある。このことは、代謝依存性の活性酸素種(ROS)産生の低下に起因するのではないかと考えられる。しかし、ROS産生の低下が寿命の延長をもたらすかどうかについては、議論の余地がある。Schulzらは、ヘキソキナーゼによる最初のリン酸化以降は代謝されない2-デオキシ-D-グルコース(DOG)に線虫(Caenorhabditis elegans)を曝露し、グルコース欠乏により誘発されるのと同様の代謝状態を作り出した。グルコース代謝は低下したが、ミトコンドリア呼吸は寿命と同様に亢進した。また、解糖酵素をノックダウンしても、呼吸が亢進して寿命が延長されたが、グルコース利用性を増大させたところ、両パラメータは低下した。AAK-2(AMP依存性キナーゼのC. elegansホモログ)を欠損する線虫では、DOGは酸素消費量の増大や寿命の延長をもたらすことはなかった。DOGは、48時間後にROS産生の増大、6日後にカタラーゼ活性の上昇を誘導した。さらに、6日間DOG処理した線虫は、パラコートやアジ化ナトリウムといったミトコンドリアROS産生を増大させるストレス惹起因子への抵抗性を示した。ROSスカベンジャーであるN-アセチルシステインによる前処理は、DOG依存性のROS増加および寿命延長を低下させ、アスコルビン酸(ビタミンC)やトロロクス(ビタミンE誘導体)による処理と同様に、アジ化物やパラコートに対する抵抗性を低下させた。著者らは、グルコース制限は、AAK依存性のROS産生増大に依存するメカニズムを介して寿命を延長し、それによりストレス抵抗性を増大させるのではないかと提案し、抗酸化物質サプリメントの妥当性に関する問題を提起している。

T. J. Schulz, K. Zarse, A. Voigt, N. Urban, M. Birringer, M. Ristow, Glucose restriction extends Caenorhabditis elegans life span by inducing mitochondrial respiration and increasing oxidative stress. Cell. Metab. 6, 280-293 (2007). [PubMed]

E. M. Adler, A Long, Deprived Life or a Short, Sweet One? Sci. STKE 2007, tw358 (2007).

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