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神経保護
考えるための食品

Neuroprotection Food for Thought?

Editor's Choice

Sci. STKE, 27 November 2007 Vol. 2007, Issue 414, p. tw430
[DOI: 10.1126/stke.4142007tw430]

John F. Foley

Science’s STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : パーキンソン病(PD)は、脳の黒質緻密部(SNc)におけるドーパミン作動性ニューロンの喪失を特徴とする。PD脳では正常脳よりもニューロトロフィン(ニューロンの生存を促進するタンパク質)の産生や機能が低下していることは、PDに寄与する要因のひとつであると考えられる。レプチンは、視床下部において食欲を低下させる機能を持つホルモンである。また、レプチン受容体はSNcのドーパミン作動性ニューロン中に豊富に含まれることから、Wengらはレプチンがニューロン生存に関与するかどうか検討している。免疫組織化学解析により、ニューロトキシン6-OHDA(マウスPDモデル)を脳に注入することにより引き起こされたSNcのマウスドーパミン作動性ニューロンの変性は、マウスにあらかじめレプチンを注入した場合にはより軽度であった。また、レプチンはドーパミン作動性細胞株であるマウスMN9D細胞の6-OHDA誘導毒性に対して保護作用を示した。ウエスタンブロットアッセイや薬理学的阻害剤および低分子ヘアピン型(sh)RNAによる処理により、レプチンが6-OHDA誘導性アポトーシスを阻害できる能力は、レプチン受容体を介するヤヌスキナーゼ2(JAK2)、マイトジェン活性化または細胞外シグナル制御プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)、細胞外シグナル制御キナーゼ1、2(ERK1/2)、既知のニューロン生存因子である転写因子cAMP応答エレメント結合タンパク質(CREB)の活性化に依存することが示された。レプチンはドーパミン作動性SNcニューロンにおけるCREBのリン酸化と核移行も促進し、脳における脳由来神経栄養因子(BDNF)の含有量を未投与の動物よりも増加させた。以上の結果、これらのデータは、レプチン投与がPD治療に有用である可能性を示唆するものである。

Z. Weng, A. P. Signore, Y. Gao, S. Wang, F. Zhang, T. Hastings, X.-M. Yin, J. Chen, Leptin protects against 6-hydroxydopamine-induced dopaminergic cell death via mitogen-activated protein kinase signaling. J. Biol. Chem. 282, 34479-34491 (2007). [Abstract] [Full Text]

J. F. Foley, Food for Thought? Sci. STKE 2007, tw430 (2007).

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