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神経科学 
ポリシアル酸を見守る

Neuroscience
Looking After Polysialic Acid

Editor's Choice

Sci. STKE, 4 December 2007
[DOI: 10.1126/stke.4152007tw437]

Elizabeth M. Adler

Science's STKE, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 脳機能の多くの側面は、神経活動によって調節されている。場合によっては、活動の影響は、特定の発育段階、すなわち最も重要な時期(臨界期)に限定されることがある。例えば、幼少期に片方の眼からの視覚入力が消失すると、視覚野ニューロンの反応性が、機能している方の眼に移行する。視覚優位性可塑性のこの臨界期の開始および時間経過は、視覚入力と神経活動により制御されているGABA作動性神経伝達の成熟の影響を受ける。しかし、どのように影響されるのだろうか?Di Cristoらは、ポリシアル酸 [polysialic acid: PSA、すなわち神経細胞接着分子(neural cell adhesion molecules: NCAMs)に結合し、細胞間結合を制御するシアル酸のホモポリマー]およびNCAMは、新生マウスの視覚野に大量に存在しているが、開眼後、急速に減少することを見出した。暗所で飼育された仔マウスは、通常の明/暗サイクルのもとで飼育された仔マウスと比較してPSAが増加しており、また、視覚シグナルの薬理学的抑制により、その減少が抑制された。大脳皮質の器官培養では、エンドノイラミダーゼを用いてPSAを酵素的に除去すると、GABA作動性バスケット細胞介在ニューロンによる錐体細胞の細胞体の神経接合の早期の成熟が誘導された。同様に、視覚野にエンドノイラミダーゼを注入すると、細胞体周囲のGABA作動性神経接合および微小抑制性後シナプス電流の頻度が亢進した。さらに、視覚優位性可塑性の臨界期の早期開始が促進された。以上のことから著者らは、GABA作動性抑制の成熟ならびにその結果としての視覚優位性可塑性の開始は、活動依存性のPSA減少によって制御されていると結論づけている。

G. Di Cristo, B. Chattopadhyaya, S. J. Kuhlman, Y. Fu, M.-C. Belanger, C. Z. Wu, U. Rutishauser, L. Maffei, Z. J. Huang, Activity-dependent PSA expression regulates inhibitory maturation and onset of critical period plasticity. Nat. Neurosci. 10, 1569-1577 (2007). [PubMed]

E. M. Adler, Looking After Polysialic Acid. Sci. STKE 2007, tw437 (2007).

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