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アレルギー、PI3KのためのRGS

Editor's Choice

Science Signaling, 8 January 2008
Vol. 1, Issue 1, p. ec1
[DOI: 10.1126/stke.11ec1]

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 免疫グロブリンE(IgE)は、アレルゲンに応答してFcεRI受容体の活性化を引き起こす。FcεRI受容体は、免疫受容体チロシン活性化モチーフを介してシグナルを伝達する。マスト細胞でのFcεRIの活性化により細胞内カルシウム濃度が上昇し、その結果、脱顆粒およびヒスタミンなどの炎症性メディエーターの放出が起こる。FcεRIからカルシウムまでのシグナル伝達経路には、チロシンキナーゼのLynおよびSyk、アダプタータンパク質のGab2およびGrb2、 ホスホイノシチド3キナーゼ(PI3K)、ならびにホスホリパーゼCを介するイノシトール1,4,5-三リン酸(IP3)の産生が関与している。アデノシンまたはプロスタグランジン受容体などのGタンパク質共役型受容体は、IgEを介するマスト細胞の活性化を増幅させると考えられる。Bansalらは、Gタンパク質シグナル伝達調節因子(RGS)タンパク質のR4サブファミリーに属するRgs13が、Gタンパク質の代わりにPI3Kのp85サブユニットを介する機構を介して、IgEによるマスト細胞の脱顆粒を阻害することを明らかにした。RGSタンパク質は、特定のGαサブユニットに対してGTPase活性化タンパク質(GAP)として作用することによりGタンパク質のシグナル伝達を減弱させること、またGαサブユニットと下流のエフェクター分子との相互作用を阻害することが良く知られている。Bansalらは、Rgs13ノックアウト(Rgs13-KO)マウスから単離した骨髄由来マスト細胞(BMMC)を用いて研究を行い、抗原刺激による脱顆粒は促進され、百日咳毒素によるGタンパク質の阻害によりこの応答の促進は変化しないことから、Gタンパク質がこの作用を仲介していないことを示唆した。さらに、Rgs13欠損BMMCにGタンパク質と相互作用できないRgs13変異体を再構成すると、促進された脱顆粒応答は阻害された。野生型マウスと比較して、Rgs13-KOマウスは皮膚のアレルギー反応の増強も示したが、マスト細胞の数や形態の変化は示さなかった。グルタチオンSトランスフェラーゼに融合させたRgs13を用いて、BMMCのライセートからPI3Kのp85サブユニットがRgs13と相互作用するチロシンリン酸化タンパク質として同定された。Rgs13とp85との相互作用は直接的であり、組換えタンパク質を用いても認められたが、p85のチロシンリン酸化(Lynとのインキュベーションにより起こる)が必要であった。Rgs13欠損BMMCは、抗原に応答してIP3産生の増加、Aktリン酸化および細胞内カルシウム濃度の上昇を示した。野生型BMMCへの細胞透過性Rgs13の導入により、抗原刺激によるカルシウム流入およびPI3K活性化が阻害された。細胞透過性Rgs13を導入されたBMMCを用いた免疫沈降実験により、Rgs13がFcεRIシグナル伝達複合体のGab2へのp85のリクルートメントを阻害することが示された。

G. Bansal, Z. Xie, S. Rao, K. H. Nocka, K. M. Druey, Suppression of immunoglobulin E-mediated allergic responses by regulator of G protein signaling 13. Nat. Immunol. 9, 73-80 (2008). [PubMed]

N. R. Gough, An RGS for PI3K. Science Signaling 1, ec1 (2008).

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