• ホーム
  • 抗ウイルス応答 染色体が寄り集まる

抗ウイルス応答
染色体が寄り集まる

Antiviral Response
Chromosomes Get Together

Editor's Choice

Sci. Signal., 15 July 2008
Vol. 1, Issue 28, p. ec251
[DOI: 10.1126/scisignal.128ec251]

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 感染細胞におけるI型インターフェロン(IFN)をコードする遺伝子の転写活性化は、抗ウイルス応答で重要な役割を果たす。他のいくつかのサイトカイン遺伝子と同様に、IFN-β遺伝子の発現は確率論的であり(すべての感染細胞でこの遺伝子が発現するとは限らない)、ほぼ一方の対立遺伝子のみが発現する。I型IFNが分泌され、感染細胞や非感染細胞上のIFN受容体が活性化されると、それが引き金となって他の抗ウイルス遺伝子が活性化される。IFN-β遺伝子の転写活性化には、この遺伝子のプロモーターの上流にあるエンハンサー配列に複数の転写因子が一過性に協調して集合する必要がある。まず、核因子κB(NF-κB)が結合し、続いてインターフェロン調節因子1(IRF-1)、活性化転写因子2(ATF-2)、c-Junが結合する。そして最後に、IRF-7がこの複合体(エンハンセオソームenhanceosome)に結合すると、すぐに転写が開始される。ApostolouとThanosは、このエンハンセオソーム形成に固有の複雑さこそが、IFN-β遺伝子の発現パターンを確率論的なものにしているのかもしれないと推測した。対照とするHeLa細胞でのウイルス誘導性IFN-β発現と、個々の転写因子を過剰発現させた細胞でのウイルス誘導性IFN-β発現とを比較することにより、エンハンセオソームを構成するすべての成分の細胞内濃度が限定的であることを見出した。また、環状染色体コンフォメーションキャプチャー(Circular chromosome conformation capture:4C)分析、クロマチン免疫沈降、DNA蛍光in situハイブリダイゼーション(fluorescence in situ hybridization:FISH)法を用いた実験により、IFN-βエンハンサーと3つの遺伝子座(このうち、IFN-βと同じ染色体上にあるのは1つのみ)の間にウイルス誘導性の相互作用が生じることを示した。この相互作用はそれら遺伝子座へのNF-κBの結合に依存的であった。この相互作用よって、NF-κBはIFN-βエンハンサーへと移動し、エンハンセオソームが形成され、IFN-βの一方の対立遺伝子のみが発現した。次の段階では、感染細胞、非感染細胞の両方で、IFN-bシグナル伝達によってIRF-7遺伝子の発現が誘導され、それによってエンハンセオソーム形成とIFN-β遺伝子発現が染色体間の相互作用とは独立に促進された。SchoenfelderとFraserの考察にあるとおり、この研究は三次元空間における遺伝子調節を考えることの必要性を強調するものである。

E. Apostolou, D. Thanos, Virus infection induces NF-κB-dependent interchromosomal associations mediating monoallelic IFN-β gene expression. Cell 134, 85-96 (2008). [PubMed]
S. Schoenfelder, P. Fraser, Interchromosomal huddle kickstarts antiviral defense. Cell 134, 14-16 (2008). [PubMed]

J. F. Foley, Chromosomes Get Together. Sci. Signal. 1, ec251 (2008).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る