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ストリゴラクトンによるシグナル伝達の新たな分枝効果か

Plant Hormones
New Ramifications of Strigolactone Signaling?

Editor's Choice

Sci. Signal., 16 September 2008
Vol. 1, Issue 37, p. ec322
[DOI: 10.1126/scisignal.137ec322]

Elizabeth M. Adler

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 植物は茎頂から上方にのみ生長するのではなく、茎頂より下から側方へも枝分かれする。側枝形成はオーキシンとサイトカイニンにより調節される。しかし突然変異研究によって、第3クラスの(カロテノイドに由来する)ホルモンも枝分かれを調節することが示唆された(Klee参照)。現在2つの研究グループが、ストリゴラクトンまたはその誘導体がこれら未同定の「枝分かれ抑制ホルモン」ではないかと提唱している(ストリゴラクトンはカロテノイド由来物質であり、植物の根に定着している共生菌と、他の植物の根に寄生する植物に対してシグナルを伝達することが知られている)。梅原らは質量分析法を用いてストリゴラクトンについて分析し、カロテノイド酸化開裂酵素7(CCD7)およびCCD8をコードする遺伝子に突然変異をもつ稲苗の枝分かれの多い根および根浸出液のストリゴラクトン含量は、野生型の苗に比べて少ないことを発見した。これらの変異体の培地(CCD7またはCCD8に影響を与える突然変異をもつ枝分かれの多いシロイヌナズナの培地でも同様に)は、野生型の植物の培地よりも根寄生植物の種の発芽刺激効果(ストリゴラクトン濃度のアッセイ法)が低かった。また、ストリゴラクトンの処理により、CCD7またはCCD8に影響を与える変異をもつ植物における枝分かれの表現型は回復したが、ストリゴラクトンを産生する枝分かれ変異体の表現型は回復しなかった。2件目の研究はGomez-Roldanらによるものである。彼らはCCD7とCCD8をコードする遺伝子が変異しているエンドウ豆の根浸出液は、野生型のそれに比べて、菌根菌の菌糸分枝の刺激、および寄生植物の発芽の刺激に対して効果が低いことを認め、質量分析によってストリゴラクトンが消失していることを確認した。ストリゴラクトンを外部から添加すると、エンドウ豆とシロイヌナズナのccd変異体で枝分かれが阻害されたが、ストリゴラクトン産生変異体では阻害されなかった。そこで両研究グループは、ストリゴラクトンあるいはその誘導体が、植物根と相互作用する生物にシグナルを伝達するのみでなく、側枝形成の調節にも作用していると結論付けている。

V. Gomez-Roldan, S. Fermas, P. B. Brewer, V. Puech-Pages, E. A. Dun, J.-P. Pillot, F. Letisse, R. Matusova, S. Danoun, J.-C. Portais, H. Bouwmeester, G. Becard, C. A. Beveridge, C. Rameau, S. F. Rochange, Strigolactone inhibition of shoot branching. Nature 455, 189-194 (2008). [PubMed]

M. Umehara, A. Hanada, S. Yoshida, K. Akiyama, T. Arite, N. Takeda-Kamiya, H. Magome, Y. Kamiya, K. Shirasu, K. Yoneyama, J. Kyozuka, S.Yamaguchi, Inhibition of shoot branching by new terpenoid plant hormones. Nature 455, 195-200 (2008). [PubMed]

H. Klee, Hormones branch out. Nature 455, 176-177 (2008). [PubMed]

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