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細胞生物学 クラスター形成の新たな方法

Cell Biology
A New Way to Cluster

Editor's Choice

Sci. Signal., 11 November 2008
Vol. 1, Issue 45, p. ec381
[DOI: 10.1126/scisignal.145ec381]

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : 細胞膜における分子の構造は、細胞外環境から細胞質の区画へのシグナルの媒介において重要な役割を果たす。脂質ラフトは、コレステロールおよびスフィンゴ脂質が豊富に存在しており、膜においてシグナル伝達分子をまとめる手段の1つである。今回、Barreiroらは、テトラスパニン(膜4回貫通型の膜タンパク質)に富むマイクロドメイン(TEM)と呼ばれる独特のマイクロドメインが、内皮細胞−白血球接着において果たす機能的役割に関する証拠を提供している。テトラスパニンは、低分子の細胞膜貫通型タンパク質であり、様々な膜タンパク質や細胞質シグナル伝達分子と会合している。テトラスパニン、血管細胞接着分子-1(VCAM-1)、および細胞間接着分子-1(ICAM-1)を含む内皮細胞上のTEMは、白血球と内皮細胞の間の最初の相互作用に関与していた。血管では、白血球は内皮細胞に接着し、それから組織へ浸潤することができる。ICAM-1およびVCAM-1は、白血球上のリガンドと相互作用する、内皮細胞上の接着分子である。免疫細胞化学実験から、これらの2つの接着受容体のリガンドのどちらか一方を発現している白血球が内皮細胞培養に導入されると、両方の接着受容体が内皮細胞のドッキング構造へと集合することが示された。蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)および蛍光寿命画像顕微法(FLIM)を用いた実験からは、クラスター形成にはVCAM-1およびICAM-1の直接的な相互作用は必要でないことが示唆された。CD9抗体またはCD151抗体でコーティングしたビーズを添加すると、白血球の非存在下でさえ、両接着受容体および両テトラスパニンを含むクラスター形成が十分に開始されたことから、むしろテトラスパニンが接着受容体を集合させると考えられた。著者らは、これらのマイクロドメインを内皮接着プラットフォーム(EAP)と呼び、FRETおよびFLIM技術を用いて、テトラスパニンおよび接着受容体間の相互作用に選択性があることを示した。CD9はICAM-1と優先的に相互作用し、CD151はおもにVCAM-1と相互作用した。さらに、CD9-CD9、CD151-CD151、CD9-CD151の対が同定されたことから、CD9とCD151は同種親和的あるいは異種親和的に相互作用することができた。走査型電子顕微鏡法によって、CD9の機能を遮断すると受容体の間隔が広がり、クラスターを形成している受容体の割合が低下することが明らかになった。著者らは、このことから白血球の接着性が低下しうると推測した。走査型電子顕微鏡法によって、EAPは白血球接着部位のドッキング構造の周囲に前もって形成されたナノクラスターであったことが示唆される。LeyとZhangは、注釈の中で、白血球が接着前に転がる場合など、白血球移行中に剪断応力が存在する場合は、観察されるEAP形成は異なるかもしれないと述べている。さらに、著者らは、内皮細胞、白血球サブタイプ、血管床の異なる組合せには、EAPが関与するモデルを含む、異なる遊走モデルが関連しているかもしれないと推測している。

O. Barreiro, M. Zamai, M. Yanez-Mo, E. Tejera, P. Lopez-Romero, P. N. Monk, E. Gratton, V. R. Caiolfa, F. Sanchez-Madrid, Endothelial adhesion receptors are recruited to adherent leukocytes by inclusion in preformed tetraspanin nanoplatforms. J. Cell Biol. 183, 527-542 (2008). [Abstract] [Full Text]
K. Ley, H. Zhang, Dances with leukocytes: How tetraspanin-enriched microdomains assemble to form endothelial adhesive platforms. J. Cell Biol. 183, 375-376 (2008). [Abstract] [Full Text]

W. Wong, A New Way to Cluster. Sci. Signal. 1, ec381 (2008).

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