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上皮系細胞 
基底側から伸びる管腔センサー

Epithelia
Luminal Sensors from the Basal Side

Editor's Choice

Sci. Signal., 16 December 2008
Vol. 1, Issue 50, p. ec428
[DOI: 10.1126/scisignal.150ec428]

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

要約 : Shumらは、いくつかの偽重層上皮において基底細胞が突起状に伸長し、上皮系細胞の間を通って管腔に突出していることを細胞特異的標識法、共焦点顕微鏡、三次元再構成を用いて示した。この現象は(ラットおよびヒトの)精巣上体、ラット凝固腺(前立腺に類似)、およびラット気管で観察された。ラット精巣上体の詳細分析により、このような突出の発生頻度には幅があり、管腔への突出がみられる基底細胞は近位輸精管では10%未満、より末端の領域では約60%であることがわかった。このような突出の形態は多様で、タイトジャンクションのすぐ下にみられるものもあれば、3つの上皮系細胞が接するタイトジャンクションを貫通しているものもある。雄の生殖能力はレニン・アンジオテンシン系によって調節されている。Shumらによれば、2型アンジオテンシンII受容体(AGTR2)は基底細胞でのみ検出され、管腔側の明細胞では検出されなかった。明細胞は、管腔内を酸性化して成熟および貯蔵期間中の精子の休眠を維持するはたらきのある、プロトンポンプに関与する細胞である。アンジオテンシンII(AngII)でラット精巣上体を灌流すると、プロトンポンプの豊富な微絨毛が明細胞から伸張し、プロトンの分泌が促進された。 AGTR2アンタゴニストを加えると、明細胞に対するAngIIのこのような作用を阻害したが、AGTR1アンタゴニストでは阻害されなかった。AGTR2が活性化されると一酸化窒素(NO)が生成されるが、NOドナーの投与によってもプロトンポンプの豊富な微繊毛の伸長が促進された。一方でNO生成、またはNOの標的となる可溶性グアニル酸シクラーゼを薬理学的に阻害すると、明細胞の応答が阻害された。よって、基底細胞の管腔への突出は管腔内ホルモンのセンサーとして機能し、隣接細胞にシグナルを伝達して隣接細胞の活性および機能を調節しているものと著者らは示唆している。

W. W. C. Shum, N. Da Silva, M. McKee, P. J. S. Smith, D. Brown, S. Breton, Transepithelial projections from basal cells are luminal sensors in pseudostratified epithelia. Cell 135, 1108-1117 (2008). [Online Journal]

N. R. Gough, Luminal Sensors from the Basal Side. Sci. Signal. 1, ec428 (2008).

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