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TRPM7:細胞のマグネシウム恒常性の未来を導く?

TRPM7: Channeling the Future of Cellular Magnesium Homeostasis?

Perspectives

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 233, pp. pe23, 18 May 2004
[DOI: 10.1126/stke.2332004pe23]

Federica I. Wolf*

Institute of General Pathology and Giovanni XXIII Cancer Research Centre, Faculty of Medicine, Catholic University of the Sacred Heart, Rome, Italy.
*Contact information. E-mail: fwolf@rm.unicatt.it

要約 : Schmitzらの最近の論文では、イオンチャネルの一過性受容体電位メラスタチン7 (TRPM7)が、長く探し求められていた、哺乳類細胞におけるマグネシウム(Mg)恒常性制御因子である可能性のあることを示す説得力のある証拠が提示されている。TRPMチャネルにはシグナル伝達経路や制御ネットワークへの関与を可能にするキナーゼドメインが存在するため、この知見は予想外のものではない。しかしこれらの研究は、Mg恒常性に関する我々の理解に刺激的な新たな展開をもたらしている。TRPM7はMgの細胞内への流入を促進するが、他の推定上のMg輸送体は見かけ上逆方向に作用している。電気生理学的、生化学的、遺伝学的手法を組み合わせることによってSchmitzらは、明確に定義された、生物学的に説得力のあるMg恒常性制御因子を立証する重要な特徴の大部分を明らかにした。TRPM7の遺伝学は十分に把握されており、細胞内の遊離Mg2+による制御は制御フィードバックループの機構を解明し、キナーゼドメインは遊離Mg2+への感受性を調節する。これらの知見は、TRPM7がこの厳密な特徴づけによってMgのステージの中央に躍り出る以前から、Mg制御に関して知られていた間接的、記述的な情報に照らして論じられている。TRPM7リン酸化および脱リン酸化の下流における分子事象については綿密な解明を待たなければならないが、これらの結果によって、Mgの研究には刺激的な展望が開け、また、細胞増殖やその他の重要な病態生理学的事象におけるMgの役割を再検討するために大いに必要とされていたツールが得られる可能性がある。同様にこれらの知見は、Mgの不均衡を特徴とする病態に関する研究への指針を提供するであろう。

F. I. Wolf, TRPM7: Channeling the F uture of Cellular Magnesium Homeostasis?. Sci. STKE 2004, pe23 (2004).

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