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細胞死から神経の再生まで、p75ニューロトロフィン受容体の作用はパートナーのサブユニットとの相互作用によって決まる

From Cell Death to Neuronal Regeneration, Effects of the p75 Neurotrophin Receptor Depend on Interactions with Partner Subunits

Perspectives

Sci. STKE, Vol. 2004, Issue 235, pp. pe24, 1 June 2004
[DOI: 10.1126/stke.2352004pe24]

Christine Bandtlow1* and Georg Dechant 2*

1* Institute for Medical Chemistry and Biochemistry, Division of Neurobiochemistry, Innsbruck Medical University, 6020 Innsbruck, Austria.
2* Institute for Neuroscience, Innsbruck Medical University, 6020 Innsbruck, Austria.
*Corresponding author. E-mail: georg.dechant@uibk.ac.at

要約 : 哺乳類の成体の中枢神経系(CNS)において、神経細胞線維の成長は、ミエリンによって能動的に阻害されている。CNSのミエリンに存在する阻害要素として、ミエリン結合糖蛋白質(myelin-associated glycoprotein:MAG)、オリゴデンドロサイトミエリン糖蛋白質(oligodendrocyte myelin glycoprotein:OMgP)、Nogo-66といった蛋白質が同定されている。これら3種類の蛋白質はいずれも、Nogo-66受容体(NgR)とニューロトロフィン(NT)受容体p75NTRを含む神経細胞受容体複合体に結合することで阻害活性を発揮する。Miらは、最近の発表において、p75NTRとNgRの相互作用因子として新規の蛋白質Lingo-1を同定している。Lingo-1-NgR-p75NTR複合体は、低分子量GTPase RhoAを活性化することで 、Nogo-66、OMgP、およびMAGに神経細胞再生への阻害作用を与えることが示されている。p75NTRが膜貫通型蛋白質ソルチリンと相互作用して細胞死促進活性のある別の受容体複合体を形成するという最近の知見と合わせると、Miらの研究結果から、p75NTRは機能特異的な共受容体と会合することで幅広い細胞機能を示すことが示唆される。

C. Bandtlow, G. Dechant, From Cell Death to Neuronal Regeneration, Effects of the p75 Neurotrophin Receptor Depend on Interactions with Partner Subunits. Sci. STKE 2004, pe24 (2004).

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