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動脈と静脈の地図を作る
MAPping Out Arteries and Veins
Sci. STKE, Vol. 2006,
Issue 355, p. pe39, 3 October 2006
[DOI: 10.1126/stke.3552006pe39]
Ryan E. Lamont and Sarah Childs*
Department of Biochemistry and Molecular Biology, University of Calgary, Calgary AB, Canada T2N 4N1, Canada.E-mail: relamont@ucalgary.ca, schilds@ucalgary.ca
要約 : 循環が始まる前に動脈と静脈の特性を遺伝的プログラムが決定することを示唆する証拠が増えつつある。動脈マーカーの発現には、ソニックヘッジホッグ(Shh)、血管内皮増殖因子(VEGF)、VEGF受容体2(VEGFR2)、ホメオボックスタンパク質のFoxc1およびFoxc2、Notch受容体、下流の転写因子gridlockが関与するシグナル伝達カスケードが必要である。一方、静脈への発生運命の維持に関与しているのは、これまでのところは単一の転写因子COUP-TFII(ニワトリオボアルブミンの上流プロモーターの転写因子II[chicken ovalbumin upstream promoter-transcription factor II])のみとされてきた。最近の研究によって、現在ではVEGFR2の下流にあって競合する2つの経路が動脈と静脈の特定に関与することが考えられる。ホスホリパーゼC-γ(PLC-γ)-マイトジェン活性化タンパク質キナーゼ(MAPK)経路の活性化が動脈の特定過程に影響を及ぼすのに対して、ホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)-Akt経路がPLC-γ-MAPK経路を阻害することによって静脈への発生運命を実現させるように作用する。今回は、この研究について概説し、MAPKシグナル伝達カスケードの活性化によって動脈への発生運命が促進される仕組みについて論じる。
R. E. Lamont, S. Childs, MAPping Out Arteries and Veins. Sci. STKE 2006, pe39 (2006).