• ホーム
  • ヒトITPK1:受容体依存性ホスホリパーゼCをCa2+活性化塩素イオンチャネルと結びつける可逆性イノシトールリン酸キナーゼ/ホスファターゼ

ヒトITPK1:受容体依存性ホスホリパーゼCをCa2+活性化塩素イオンチャネルと結びつける可逆性イノシトールリン酸キナーゼ/ホスファターゼ

Human ITPK1: A Reversible Inositol Phosphate Kinase/Phosphatase That Links Receptor-Dependent Phospholipase C to Ca2+-Activated Chloride Channels

Perspectives

Science Signaling, 29 January 2008
Vol. 1, Issue 4, p. pe5
[DOI: 10.1126/scisignal.14pe5]

Adolfo Saiardi1 and Shamshad Cockcroft2*

1sup>Medical Research Council Cell Biology Unit and Laboratory of Molecular Cell Biology and
2Lipid Signalling Group, Department of Physiology, University College London, London WC1E 6JJ, UK.
*Corresponding author. E-mail, s.cockcroft@ucl.ac.uk

要約 : イノシトール3,4,5,6-テトラキスリン酸〔Ins(3,4,5,6)P4〕は、細胞膜のCa2+活性化型塩素イオンチャネルのイオン伝導性を阻害する物質である。これらのイオンチャネルは、上皮細胞からの塩および液体分泌、細胞容積の恒常性、ニューロンや平滑筋における電気的興奮性に必要である。酵素ITPK1(イノシトール1,3,4-三リン酸5/6キナーゼ)は、Ins(3,4,5,6)P4の供給源である。ITPK1は、Ins(1,3,4)P3の5位または6位、Ins(3,4,5,6)P4の1位のいずれもリン酸化することができ、Ins(1,3,4,5,6)P5をIns(3,4,5,6)P4に脱リン酸化することもできる。今回研究から、ITPK1が示すこれらの様々な酵素活性が、受容体により活性化されるホスホリパーゼC活性の変化、その結果として起こる、Ins(3,4,5,6)P4の存在量の調節を目的としたIns(1,3,4)P3濃度の上昇を可能にする分子機構をもたらすことが示されている。ITPK1は、リン酸をイノシトールポリリン酸から受け取ることができ、またはイノシトールポリリン酸に直接与えることができる、密接に結合したヌクレオチドを捕捉している。この際に、ヌクレオチドがバルクとして溶媒に放出されることはない。この「基質間」転移の現象は、ヒトの酵素にしか認められず、ヒト酵素はIns(1,3,4)P3を用いて細胞のIns(3,4,5,6)P4濃度の上昇を促進する。

A. Saiardi, S. Cockcroft, Human ITPK1: A Reversible Inositol Phosphate Kinase/Phosphatase That Links Receptor-Dependent Phospholipase C to Ca2+-Activated Chloride Channels. Science Signaling 1, pe5 (2008).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

バックナンバー一覧へ