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カスパーゼ2:残存物なのか、それとも主要調節因子なのか?

Caspase-2: Vestigial Remnant or Master Regulator?

Perspectives

Sci. Signal., 23 September 2008
Vol. 1, Issue 38, p. pe42
[DOI: 10.1126/scisignal.138pe42]

Carol M. Troy* and Elena M. Ribe

Columbia University College of Physicians and Surgeons, Departments of Pathology and Neurology, Taub Center for the Study of Alzheimer’s Disease and the Aging Brain, 630 West 168th Street, New York, NY 10032, USA.
* Corresponding author. E-mail: cmt2@columbia.edu

要約 : カスパーゼ2は2番目に同定された哺乳類のカスパーゼで、進化的に広く保存されたカスパーゼであるが、詳しい分類はなされてこなかった。カスパーゼ2欠損マウスに顕著な表現型が認められなかったため、長年にわたり興味を持たれずにいた。ところが、活性化複合体が存在する可能性が確認され、活性化されたカスパーゼ2の検出方法が開発されるなど、この分野の研究が進歩したことによって今ではカスパーゼ2の機能の理解への光明が見いだされた。本研究では、カスパーゼ2が2通りの経路で細胞死を誘導していることを示した。1つは、カスパーゼ2は、線虫(Caenorhabditis elegans)のカスパーゼであるced-3の場合と同様の方法で、ミトコンドリア由来の経路とは独立した経路で細胞死を誘導している。2つは、カスパーゼ2はミトコンドリア由来の経路の上流で細胞死を誘導している。経路選択は、細胞死刺激の種類に応じて決まるのかもしれない。カスパーゼ2がミトコンドリア機能不全の上流に位置づけられると同時に、独立した存在としても位置づけられるということは、細胞死の異常に対する新たな治療法につながる可能性がある。

C. M. Troy, E. M. Ribe, Caspase-2: Vestigial Remnant or Master Regulator? Sci. Signal. 1, pe42 (2008).

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