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一酸化窒素がミトコンドリア分裂をアルツハイマー病に結びつける
Nitric Oxide Links Mitochondrial Fission to Alzheimer’s Disease
Sci. Signal., 5 May 2009
Vol. 2, Issue 69, p. pe29
[DOI: 10.1126/scisignal.269pe29]
Benedikt Westermann*
Institut für Zellbiologie and Bayreuther Zentrum für Molekulare Biowissenschaften, Universität Bayreuth, 95440 Bayreuth, Germany.* Corresponding author. E-mail, benedikt.westermann@uni-bayreuth.de
要約 : ミトコンドリア機能不全は、アルツハイマー病発症におけるβアミロイド(Aβ)誘発神経損傷の顕著な特徴である。神経毒性を有するAβペプチドは、アルツハイマー病の主要メディエーターであると考えられ、ヒト脳内ミトコンドリアに取り込まれ、そこで呼吸代謝の主要酵素を阻害すると考えられる。Aβに応答して産生される一酸化窒素(NO)はミトコンドリアの分裂タンパク質であるダイナミン関連タンパク質1(Drp-1)のS-ニトロシル化を誘発し、過剰なミトコンドリア分裂、シナプス喪失および神経損傷を招く。さらに、アルツハイマー病患者の脳にはS-ニトロシル化Drp-1が大量に含まれる。Aβ依存的ミトコンドリアの断片化は損傷ミトコンドリアの生体エネルギー産生能の低下を引き起こし、アルツハイマー病の神経損傷および発症に寄与すると考えられる。
B. Westermann, Nitric Oxide Links Mitochondrial Fission to Alzheimer’s Disease. Sci. Signal. 2, pe29 (2009).