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ホスファターゼの暗号を解く:ドッキング相互作用が基質特異性を決定

Cracking the Phosphatase Code: Docking Interactions Determine Substrate Specificity

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Sci. Signal., 8 December 2009
Vol. 2, Issue 100, p. re9
[DOI: 10.1126/scisignal.2100re9]

Jagoree Roy and Martha S. Cyert*

Department of Biology, Stanford University, 371 Serra Mall, Stanford, CA 94305-5020, USA.
* Corresponding author. E-mail, mcyert@stanford.edu

要約 : ホスホセリンおよびホスホトレオニンを標的にするホスファターゼは、顕著な基質特異性を示すが、脱リン酸化部位のアミノ酸配列にはほとんど類似性がない。2つの保存されたホスファターゼ、すなわちプロテインホスファターゼ1(PP1)およびCa2+-カルモジュリン依存性ホスファターゼ(カルシニューリン)による基質および調節因子の認識には、ドッキング相互作用が重要であることが明らかにされた。いずれの場合にも、相互作用するタンパク質の短い部分可変配列のモチーフが、ホスファターゼの活性部位とは別個のドッキング面への低親和性結合を誘導する。複数のそのような相互作用の組合せによって、全体的な結合特異性が付与される。ドッキング面のなかには保存されているものもある。たとえば、活性部位の反対側にある疎水性溝は、PP1と相互作用するタンパク質の「RVxF」モチーフおよびカルシニューリンの基質の「PxIxIT」モチーフの主要な認識面として働く。二次モチーフは、この一次標的配列と協同してホスファターゼ結合を特定する。哺乳類PP1の網羅的なインタラクトームが明らかにされたが、その分析から、複数のPP1結合モチーフが定義される。二次的なカルシニューリン結合配列である「LxVP」の研究から、このモチーフがカルシニューリン基質の保存された特徴であり、免疫抑制剤FK506およびシクロスポリンAは、LxVPを介するドッキングを阻害することによってホスファターゼを阻害することが証明された。

J. Roy, M. S. Cyert, Cracking the Phosphatase Code: Docking Interactions Determine Substrate Specificity. Sci. Signal. 2, re9 (2009).

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