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記事ID : 45801
研究用

シングルセル解析用免疫プロファイリング抗体カクテル(固定細胞サンプル適用) MultiPro™(マルチプロ)オリゴヌクレオチド標識抗体

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『MultiPro™(マルチプロ)』は、Proteintech Genomics(プロテインテック・ジェノミクス)が提供する単一細胞(シングルセル)タンパク質発現解析用のオリゴヌクレオチド標識抗体カクテルです。ヒト固定細胞を対象に、シングルセルRNA-seq(scRNA-seq)解析と同時に「細胞表面タンパク質」および「細胞内タンパク質」の検出と定量を実現します。

MultiPro(マルチプロ)シングルセル解析用免疫プロファイリング抗体カクテル外観

背景

■ マルチオミクス解析とは?

マルチオミクス(Multiomics:複数のオミクス)解析とは、特定階層の生体分子を対象とする学問分野(例:ゲノム/遺伝子を研究対象とする「ゲノミクス」等)において、網羅的な研究や調査を行う「オミクス解析」を多階層で実施するための技術や方法です。例えば、RNAを研究対象とする「トランスクリプトミクス(Transcriptomics)」やタンパク質を研究対象とする「プロテオミクス(Proteomics)」を並行して行うことが挙げられます。マルチオミクス解析を用いたアプローチは、生命現象、疾患/病態の普遍性、多面性および複雑性をより良く理解するためにその重要性が一段と増しています。

様々なオミクス解析(ゲノミクス、エピジェネティクス、トランスクリプトミクス、プロテオミクス)
図. 様々なオミクス解析

■ シングルセルにおけるマルチオミクス解析

• シングルセル解析とは?

近年、1細胞レベルで解析を行う「シングルセル解析」が急速に普及しつつあります。不均一な細胞集団における、個々の細胞の特徴や細胞挙動に関する、より高解像度な情報を得ることができるため、強力なツールとして注目されています。シングルセルへの分画化には、油中に分散する水性の液滴(ドロップレット/エマルジョン)を形成させる「ドロップレット(Droplet)法」や微細構造を有する特殊なカートリッジ型デバイスを利用してシングルセルを単離する「マイクロウェル(Microwell)法」等のいくつかの方法が考案されています。

• シングルセル分画化のためのドロップレット法

ドロップレット法ではセルバーコード配列が付与されているビーズ(ゲルビーズ)と単一細胞を合流させた後、油中に分散する水性の液滴を形成させます。1つの液滴内に個々のビーズと単一細胞を封入した状態で、各液滴内で細胞を溶解させ、逆転写反応を実施することでバーコード化cDNAを調製します。バーコード化cDNAをプールして次世代シーケンシング解析(NGS)用ライブラリーを調製後、次世代シーケンサーを用いて塩基配列を読み取ります。ドロップレット法では、1回の実験で最大100万個(106)の細胞を分析対象にできるため、ハイスループットな解析が可能となります。

ドロップレット法によるシングルセルへの分画化
図. ドロップレット(Droplet)法によるシングルセル分画化のイメージ

• シングルセルにおけるRNA解析

現在、RNAを分析対象として1細胞レベルでの遺伝子発現を網羅的に解析する「シングルセルトランスクリプトミクス解析」が主流となっています。次世代シーケンシング技術を用いて細胞ごとの情報を解析するこの手法は「シングルセルRNA-seq(scRNA-seq)」と呼ばれ、1回の実験で最大数百万細胞の遺伝子発現情報を取得できます。scRNA-seqは、細胞種別、細胞の挙動、疾患のメカニズム、各種バイオマーカーに関する貴重な手掛かりを提供します。

scRNA-seqの応用例
図. シングルセル RNA-seq(scRNA-seq)の応用例

• タンパク質を同時に解析するCITE-seq法とは?

シングルセル解析において、抗体識別バーコード配列が付加されたオリゴヌクレオチド標識抗体を使用してトランスクリプトミクス(RNA)解析と同時にタンパク質の発現の定量を可能にする「CITE-seq」法と呼ばれる手法が開発されました。CITE-seqを利用したマルチオミクス解析は、1つのアッセイでトランスクリプトミクス解析とプロテオミクス解析を同時に実施することができるため細胞ごとの包括的な情報を提供します。

オリゴヌクレオチド標識抗体
図. オリゴヌクレオチド標識抗体

使用目的

■ MultiPro™(マルチプロ)とは?

MultiPro(マルチプロ)ロゴ

MultiPro™(マルチプロ)は、従来の細胞表面タンパク質だけではなく、細胞内タンパク質の定量も可能にする新しいCITE-seq的解析ツールです。53種類のタンパク質マーカーに対するオリゴヌクレオチド標識抗体を混合し、以下のターゲットの検出と定量を実現します。

  • 細胞表面タンパク質
  • 核内タンパク質/転写因子
  • 細胞質タンパク質

特長

  • シングルセルRNA-seqと統合可能なマルチオミクス解析用試薬
  • 細胞表面タンパク質に加えて、「細胞内タンパク質」の同時定量を初めて実現!
  • 4%PFA固定細胞サンプルに適用
  • 10x Genomics®社「Chromiumシングルセル遺伝子発現Flex」適合
    (Feature Barcodeマルチプレックス化キットを利用)
  • 力価調整済み&独自配合の抗体カクテルを凍結乾燥品として提供

その他

■ 適用サンプル/適合システム

MultiPro™(マルチプロ)オリゴヌクレオチド標識抗体は、10x Genomics®社のFeature Barcodeマルチプレキシングキットに適合します。

  • 適用サンプル:4%PFA固定ヒト末梢血単核細胞(PBMC)
  • 適合シーケンサー:Illumina®社の次世代シーケンサー装置
  • 適合可能な 10x Genomics®社製品:
    品名 包装 カタログ番号
    Chromium® Next GEM Single Cell Fixed RNA Sample Preparation Kit 16 rxns PN-1000414
    Chromium® Next GEM Chip Q Single Cell Kit 48 rxns PN-1000418
    16 rxns PN-1000422
    Chromium® Fixed RNA Kit, Human Transcriptome 4 rxns x 4 BC PN-1000475
    4 rxns x 16 BC PN-1000476
    Fixed RNA Feature Barcode Multiplexing Kit64 rxns PN-1000628
    Dual Index Kit TS Set A 96 rxns PN-1000251
    Dual Index Kit TN Set A 96 rxns PN-1000250

■ ワークフロー

Fc受容体のブロッキング後に4%PFAによる細胞の固定処理および透過処理を実施して、MultiPro™(マルチプロ)によって染色します。

MultiPro(マルチプロ)シングルセル解析用免疫プロファイリング抗体カクテルのワークフロー
図. MultiPro™(マルチプロ)のワークフロー

■ シーケンシング用パラメーター

10x Genomics®社の対応キットとは異なるパラメーターでシーケンシングを実施する必要があります。遺伝子発現解析と MultiPro™のシーケンシング用ライブラリーの解析を同時に実施する場合、以下のパラメーターを使用してください。

  • Read 1:48 cycles
  • Index 1:10 cycles
  • Read 2:50 cycles
  • Index 2:10 cycles

ターゲット一覧

MultiPro™(マルチプロ)には53種類のターゲットタンパク質特異的抗体とアイソタイプコントロール抗体が含まれます。

表. MultiPro™(マルチプロ)ターゲットタンパク質一覧
MultiPro(マルチプロ)のターゲットタンパク質一覧表

よくある質問 FAQ

【01】MultiPro™免疫プロファイリング抗体カクテル(品番:G900004)のプロトコールを教えてください。

こちらからご覧いただけます[PDF](言語:英文)。

【02】MultiPro™はどのようなサンプルに使用できますか?

本製品は4%PFA(パラホルムアルデヒド)で15分間固定処理したヒトPBMC(末梢血単核細胞)で検証されています。その他のヒト細胞にも適合すると考えられますが、現時点で検証は行われていません。なお他の固定方法は推奨されません。

【03】1つのバイアルでどれくらいの細胞を「染色」できますか?

本製品(品番:G900004)には4バイアルの抗体カクテル(凍結乾燥品)が含まれます。1バイアル(1 rxn)あたり、 100万個(106)の細胞を染色できます。細胞数を増やしたり、抗体カクテルの希釈倍率を変更すると、製品パフォー マンスやデータ品質に影響を及ぼす可能性があります。

【04】シーケンシングデータをどのように解析したら良いですか?

10x Genomics®社が提供する解析ソフトウェア「Cell Ranger」を使用してください。その際、MultiProMultiPro™抗体カクテル独自のFeature Barcode Reference fileをセットアップする必要があります。

■ 全ての「よくある質問 FAQ」はこちらから閲覧できます

使用例

■ MutliPro™(マルチプロ)を用いた解析例

SRC(細胞質局在タンパク質)

MultiPro(マルチプロ)シングルセル解析用免疫プロファイリング抗体カクテルを用いたSRCタンパク質解析データ

IRF4(核局在タンパク質)

MultiPro(マルチプロ)シングルセル解析用免疫プロファイリング抗体カクテルを用いたIRF4タンパク質解析データ

IL18(分泌タンパク質)

MultiPro(マルチプロ)シングルセル解析用免疫プロファイリング抗体カクテルを用いたIL18タンパク質解析データ

CD4(細胞表面タンパク質)

MultiPro(マルチプロ)シングルセル解析用免疫プロファイリング抗体カクテルを用いたCD4タンパク質解析データ

図. 未処理またはLPS処理済み4%PFA固定ヒトPBMCをMultiPro™免疫プロファイリング抗体カクテル(カタログ番号:G900004)と反応させ、10x Genomic®社のFeature Barcodeマルチプレキシングキットを用いて処理し、Illumina®社装置でシーケンシングを実行しました。得られたFASTQデータからmRNA発現情報に基づいてUniform Manifold Approximation and Projection(UMAP)を用いてクラスタリングした後、タンパク質発現情報を重ね合わせました。

MultiPro™(マルチプロ)オリゴヌクレオチド標識抗体

■ 免疫プロファイリング抗体カクテル(凍結乾燥品)

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
MultiProTM Immune Profiling Antibody cocktail, for Human Fixed Cell new詳細データ PGI G900004 4 RXN
お問い合わせ

本製品は都度見積品となります。お近くの販売代理店にお問い合わせください。

MultiProはProteintech Genomics社の商標、または登録商標です。
10x GenomicsおよびChromium、Feature Barcodeは10x Genomics社の商標、または登録商標です。
Illuminaは Illumina社の商標、または登録商標です。

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商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。

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