受容体型チロシンキナーゼ二量体化のプロファイリングに最適な細胞株 PathHunter® Receptor Dimerization Assay

哺乳動物では一般的に50種類以上の受容体型チロシンキナーゼが知られており、その受容体毎にリガンドが結合する細胞外ドメインの構造が異なります。チロシンキナーゼファミリーは、細胞外からの増殖シグナルや分化シグナルを受容することによって活性化し、細胞内シグナル伝達分子へ情報を伝えるため、その機能異常は、癌の発症・進行を促す以外に、循環器疾患、糖尿病、自己免疫疾患等多様な疾患への関与が示唆されています。

チロシンキナーゼは、特異的なリガンドが受容体の細胞外領域へ結合することにより、受容体の二量体化（または多量体化）が誘導され、シグナル伝達が起こります。チロシンキナーゼとリガンドの結合から誘導される二量体化は、細胞外から細胞内へと伝達されるシグナルのファーストステップとして注目されています。

DiscoverX社のPathHunter®受容体型チロシンキナーゼ二量体化アッセイは、細胞表面のキナーゼ二量体化をダイレクトに測定することが可能となります。抗腫瘍薬のターゲットとしてその阻害剤の開発が脚光を浴びている一方で、副作用の低減や、特異性の向上を目的として、既存のキナーゼ阻害剤に加え、アロステリックモジュレーターや抗体医薬の新規開発も進んでいます。

一般的な細胞内タンパク質の相互作用を利用したアッセイ系では、受容体二量体化を正確にモニタリングすることが困難です。細胞ベースのPathHunter® アッセイでは、細胞表面のチロシンキナーゼ二量体化をダイレクトに測定することにより、阻害作用の評価、生物学的反応を確認することが可能となります。

• ヒト由来全長タンパク質を発現させることにより、同一評価系においてモニタリング可能
• 低分子阻害剤・抗リガンド抗体・抗受容体抗体の同定・QCに応用可能 （Fig.2）
• ヘテロ・ホモ二量体いずれにも対応
• 洗浄不要・ワンステップの簡便なHTS対応アッセイ
• 拮抗剤・アンタゴニストなど複数の薬理作用に対応

Fig.1 PathHunter® Receptor Dimerization Assays原理

PathHunter® Receptor Dimerization Assayでは、ターゲット受容体のC末端にβ-ガラクトシダーゼの断片化Prolink (PK)標識させ、もう一方の受容体にはEnzyme Acceptor(EA)融合タンパク質を強制発現させています。リガンド結合によって受容体の二量体化が起こり(homodimerization, heterodimerization)、細胞内部ではチロシンキナーゼ部位のリン酸化が起こります。これに伴い、空間的に隣接したPKとEAの結合が促され、活性型β-ガラクトシダーゼが再構成されます。このβ-ガラクトシダーゼ活性により加水分解された基質の化学発光シグナルのレベルを測定することで、受容体型チロシンキナーゼ二量体化に対する化合物の作用を同定します。

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