ユビキチン研究に有用な注目抗体をご紹介いたします。
背景
■ ユビキチンとは?
ユビキチンおよびユビキチン様タンパク質(1)は、様々な生物学的現象および病理学的現象の調節に関与することが示され、現在では生理学および医学分野でその重要性が認められています。
ユビキチン(2)とは、76残基のアミノ酸からなるタンパク質です。すべての真核生物で高度に保存されており、驚くことに、ヒトと酵母のユビキチンでは、95%以上の相同性を示します。細胞内における基本的なユビキチンの役割に関する研究は、2004年ノーベル化学賞が授与されています(3)。ユビキチンは、単一分子として、またはユビキチン分子が特定のイソペプチド結合を介して連結したポリマー鎖の形態で、基質タンパク質に結合します。ユビキチンが基質に結合されると、76残基のアミノ酸からなるユビキチンはさらなる修飾を受け、「ユビキチンコード」(4)とも呼ばれる、多様なシグナル伝達によって様々な機能を発揮します。
■ タンパク質のユビキチン化
タンパク質のユビキチン化(5)は、ユビキチン分子中のリジン(Lys、K)残基のみに対し、標的タンパク質を特異的に転移させる翻訳後修飾プロセスです。ユビキチンと基質の結合は、ユビキチン活性化酵素(E1)、ユビキチン結合酵素(E2)、およびユビキチン転移酵素(E3)の3つの異なる酵素を含む酵素カスケードを介して生じます(図1)。
図1. ユビキチン化システムの概要
■ ユビキチンの修飾
ユビキチンは、分子中の7つのリジン(Lys、K)残基またはN末端部分がさらにユビキチン化されることで、複雑なトポロジーを持つポリユビキチン鎖を形成します。また、ユビキチンのリジン残基は、ユビキチン様分子(SUMOやNEDD8等)によってさらに修飾される場合があります。ユビキチンは、リジン(Lys)上のアセチル化、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)またはチロシン(Tyr)残基上のリン酸化を受け、それぞれの修飾によって異なるシグナル伝達を媒介します。タンパク質の機能(6)、タンパク質の発現や局在に及ぼすユビキチン化の影響は、単一のユビキチン(モノユビキチン化)またはユビキチン鎖(ポリユビキチン化)がタンパク質に結合したかどうかによって決まります(図3)。例えば、29番目のリジン(K29)と48番目のリジン(K48)を介したポリユビキチン化は、26Sプロテアソームによるタンパク質分解を誘導し、モノユビキチン化は、エンドサイトーシス、DNA修復、または遺伝子発現変化を誘導します。
■ ユビキチンの機能、疾患への関連
多くの研究成果が発表され、ユビキチンおよびユビキチン様タンパク質を介したタンパク質修飾の役割が理解され始めてきています。近年では、癌、メタボリックシンドローム、神経変性疾患(7)、筋ジストロフィー等の疾患にも関連することも報告されています。ユビキチン化は、細胞生存・分化、自然免疫/獲得免疫を含む、多くの生理機能で重要です。最近の研究成果からは、ユビキチンは、損傷したミトコンドリアを除去するために、マイトファジー(Mitophagy)や、(リン酸化)ユビキチン化ミトコンドリアで重要な役割を果たすことが報告されています(8、9)。
注目製品 | ユビキチン抗体
品番 | 10201-2-AP |
---|---|
タイプ | ウサギポリクローナル |
適用 | ELISA、IHC(免疫組織化学)、IF(免疫蛍光染色)、IP(免疫沈降)、WB(ウェスタンブロット) |
交差種 | ヒト、マウス、ラット、シロイヌナズナ(Arabidopsisthaliana)、クルーズトリパノソーマ(T.cruzi) |
図2. ユビキチン抗体(カタログ番号:10201-2-AP、希釈倍率1:50)を用いた、ヒト卵巣腫瘍(パラフィン包埋切片)の免疫組織化学染色(40X)
図3. MDA-MB-453s細胞をSDS-PAGE後、ユビキチン抗体(カタログ番号:10201-2-AP、希釈倍率1:600)を用いてウェスタンブロットを行った。
抗体名 | 品番 |
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UBA52 | 18039-1-AP |
UBD | 13003-2-AP |
PSMD4 | 14899-1-AP |
P62;SQSTM1 | 18420-1-AP |
NEDD4 | 21698-1-AP |
UBC9 | 10070-1-AP |
- Ubiquitin modifications.
- The complete amino acid sequence of ubiquitin, an adenylate cyclase stimulating polypeptide probably universal in living cells.
- The Nobel Prize in Chemistry 2004
- The ubiquitin code.
- The ubiquitin system.
- Protein monoubiquitination and polyubiquitination generate structural diversity to control distinct biological processes
- Quantitative proteomics reveal a feedforward mechanism for mitochondrial PARKIN translocation and ubiquitin chain synthesis.
- Mechanisms of mitophagy.
- The ubiquitin kinase PINK1 recruits autophagy receptors to induce mitophagy.
品名 | メーカー | 品番 | 包装 | 希望販売価格 |
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Anti UBA52, Human (Rabbit) Unlabeled | PGI | 18039-1-AP | 150 UL |
¥67,000 |
Anti FAT10, Human (Rabbit) Unlabeled | PGI | 13003-2-AP | 150 UL |
¥67,000 |
Anti PSMD4, Human (Rabbit) Unlabeled | PGI | 14899-1-AP | 150 UL |
¥67,000 |
Anti P62/SQSTM1, Human (Rabbit) Unlabeled | PGI | 18420-1-AP | 150 UL |
¥67,000 |
Anti NEDD4, Human (Rabbit) Unlabeled | PGI | 21698-1-AP | 150 UL |
¥67,000 |
Anti UBC9, Human (Rabbit) Unlabeled | PGI | 10070-1-AP | 150 UL |
¥67,000 |
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商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
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