ユビキチンとは?
ユビキチン(Ubiquitin)は、76残基のアミノ酸からなる小さなタンパク質で、タンパク質恒常性の維持に重要な役割を果たします。ユビキチンは全ての真核生物に普遍的に存在し「ユビキチン・プロテアソーム系(UPS)」に関与するほか、細胞内のシグナル伝達分子として様々な生物学的現象に関与します。ユビキチン化とは、標的タンパク質のリシン(Lys、K)残基にユビキチンを結合させる翻訳後修飾の一種で、ユビキチン活性化酵素(E1)、ユビキチン結合酵素(E2)、ユビキチン転移酵素(E3)の3段階の酵素反応によって進行します。ユビキチン同士の結合はポリユビキチン化と呼ばれ、鎖の結合部位や構造によって異なるシグナルを伝達する「ユビキチンコード」として機能します。例えば、K48結合のポリユビキチン化はプロテアソームを介した分解を促します。その他、DNA修復、オートファジー、細胞周期制御等の多様な生理機能を持つことが知られています。しかし、ユビキチン化は一過性で可逆的な反応であるため、研究には特異的な抗体や濃縮技術が必要です。これを解決するため、プロテインテックは「Ubiquitin-Trap®」という高親和性の抗ユビキチンVHH抗体を用いた技術を開発し、ユビキチン化タンパク質の効率的な単離・解析を可能にしました。
■ VHH抗体とは?
VHH抗体は、Nanobody® としても知られるラクダ科動物の「重鎖抗体(Heavy chain-only antibody)」由来の抗原結合ドメインです。一般的な抗体と比べて、10分の1程度とサイズが小さく、高い特異性と親和性を示すことで知られます。

図. ラクダ科動物のユニークな重鎖抗体・VHH

図. 従来の1/10ほどの分子量
■ Nano-Trapとは?
Nano-Trap(ナノトラップ)は、迅速かつ効率的な免疫沈降(IP)に最適です。各種担体(アガロースビーズ、磁性アガロースビーズ、磁気ビーズ)に結合したVHH抗体で構成されます。
各種ビーズ上に結合したVHH抗体は、ビーズ上に残存し、SDSサンプルバッファー中で溶出されません。したがって、従来のIP解析でしばしば問題となるIP抗体由来の軽鎖または重鎖バンドの干渉が無く、シングルバンドの精製を可能とします。さらに、ウエスタンブロットに使用する一次抗体/二次抗体を自由に選択できます。
■ Nano-Trapのアプリケーション
- IP(免疫沈降)/ CoIP(共免疫沈降)
- ChIP(クロマチン免疫沈降)/ RIP(RNA免疫沈降)
- 質量分析(Mass spectrometry)
- On-bead enzyme assay

図. Nano-Trap(左)と従来型であるProtein A/G結合IgG抗体(右)を用いた免疫沈降の概要。Nano-Trapでは、単一のバンドを得られ、従来型とは異なり軽鎖/重鎖由来のバンドは観察されません。
■ Proteintech Group(プロテインテック)とは?
Proteintech Group, Inc.(プロテインテック)社は、2001年に設立された抗体製造メーカーです。現在までに、米国本社の他、英国、中国、ドイツ、フランス、シンガポール等で支社を展開し、各国で様々なマーカー抗体、タンパク質研究用試薬を供給しています。国内におけるテクニカルサポート等は、2016年より株式会社プロテインテック・ジャパン(www.ptglab.co.jp
)が担当しています。
- 全てオリジナル商品:自社ラボで製造、検証済み(購入後1年間の交換保証付き)
- 数多くの評判:国内・海外における累計130,300報以上の論文使用実績(2025年4月現在)
- 迅速な納期:約20,000品目を当社倉庫に国内在庫!
\新年度スタートを応援!キャンペーン開催中/
プロテインテックは「世界で評価されている抗体サプライヤー」