【01】GFPタグを目的タンパク質のN末端またはC末端に融合するかによって、結合の違いは生じますか?
はい、GFP-Trap®は、目的タンパク質のC末端に融合したGFPタグに対してわずかに高い親和性を示します。なお、この違いはインキュベーション時間を延長することで補うことができます(15~30分から1~2時間に延長)。
【02】遊離GFPタンパク質を用いて、競合的に結合タンパク質をビーズから溶出できますか?
溶出可能な場合もありますが、お試しいただくしかありません。なお、この方法では目的のGFP融合タンパク質を定量的に溶出できないと考えられます。
【03】GFP-Trap®はTurboGFPに結合しますか?
【04】変性バッファー中の組織サンプルから、GFP融合タンパク質を直接精製できますか?
はい、原理的にGFP-Trap®は、過酷な緩衝液条件(0.1%SDSや1M 尿素を含有する緩衝液、例. RIPAバッファー)で非常に安定です。
【05】溶出タンパク質は二次抗体と交差反応を示しますか?
いいえ、GFP-Trap®で使用されているVHH抗体は、ヤギ、マウス、ラットまたはヒト抗体と相同性が異なるため、二次抗体との非特異的な交差反応を生じません。
【06】GFP-Trap®の結合能力を教えてください。
【07】GFP-Trap®の生化学的パラメーターを教えてください。
分子量:13.9 kDa、吸光係数:27055 M-1 cm-1です。
【08】非特異的タンパク質の結合を回避する方法はありますか?
必要に応じて、サンプルの「プレクリア処理(Pre-clearing)」を実施してください。その際、コントロールアガロース(品番:bab-20)またはコントロール磁性アガロース(品番:bmab-20)を利用できます。詳細は以下のトラブルシューティングガイドをご覧ください。
【09】結合タンパク質をネイティブ状態で溶出できますか?
0.2 M glycine(pH 2.5)を利用して室温条件で溶出できます。ビーズを60~120秒間ピペッティングし、この手順を繰り返します。1 M Tris base(pH 10.4)を直後に添加して上清を中和してください。
【10】免疫沈降に必要な哺乳類細胞数を教えてください。
1回の免疫沈降反応で約10^6~10^7の哺乳類細胞の使用をおすすめします。収量は目的のタンパク質や相互作用因子の発現レベルに依存する場合があります。
【11】免疫沈降に必要な細胞抽出物量を教えてください。
哺乳類細胞以外の場合、0.5~1.0mgの細胞抽出物の使用をおすすめします。
【12】質量分析のために、結合タンパク質をビーズから溶出する必要がありますか?
免疫沈降後にビーズ上で直接消化する方法も利用可能です。より迅速で効率的なサンプル前処理と高収率を実現します。詳細は以下の資料をご覧ください。
【13】酵素アッセイのために目的タンパク質をビーズから溶出する必要がありますか?
いいえ、活性中心がブロックされていない限り、直接酵素アッセイが可能です。詳細は以下の資料をご覧ください。
【14】Nano-Trapの解離定数を教えてください。
一般的に重鎖抗体は高い親和性を有します。解離定数(Kd値)は、低ナノモラー(nM)からピコモラー(pM)レベルの範囲です。旧クロモテック社は以下のKd値を決定しました。
* Kinetic parameterは、Dynamic Biosensors社(www.dynamic-biosensors.com
)の独自技術であるswitchSENSE®法を利用して測定しました。
【15】1回の免疫沈降に必要なNano-Trap量を教えてください。
親和性が非常に高いため、1回の反応あたり25 µL(Nano-Trap slurry量)で十分です。
【16】各GFP-Trap®(アガロース、磁性アガロース、磁気ビーズ)の違いを教えてください。
各ビーズの特性(表1)に基づいて以下のように推奨します。
- アガロースビーズ(Agarose):非常に低いバックグラウンドおよび高い結合能を必要とするIPに最適
- 磁性アガロースビーズ(Magnetic Agarose):磁気分離および高い結合能を必要とするIPに最適
- 磁気ビーズ(Magnetic Particles M-270):磁気分離および非常に大きなタンパク質を対象とするIPに最適
表1. GFP-Trap® 各種ビーズの特性
GFP-Trap® 結合担体 |
アガロース |
磁性アガロース |
磁気ビーズ |
ビーズ詳細 |
アガロース (4% cross-linked) |
磁性アガロース (6% cross-linked) |
磁気ビーズ M-270 |
ビーズ形状 |
多孔質 |
多孔質、鉄コア |
固体 |
結合抗体 |
抗GFP組換えモノクローナルVHH抗体 |
分離可能なタンパク質サイズ* |
小〜大(<200 kDa) |
小〜大(<200 kDa) 特大(>200 kDa) |
ビーズ外観 |
白 |
黒 |
茶 |
ビーズサイズ |
90 µm |
40 µm |
2.8 µm |
結合能 (10 µLあたり) |
12 µg |
8 µg |
1 µg |
バックグラウンド |
非常に低い |
低い |
磁気分離/自動化 |
No |
Yes |
最大遠心力(x g) |
2,500 x g |
800 x g |
8,000 x g |
*タンパク質のサイズ、形状、多量体/複合体、相互作用因子に依存します。
【17】磁気ビーズ(Magnetic Particles M-270)標識製品を使用する場合、サンプルの「プレクリア処理(Pre-clearing)」は必要ですか?
いいえ、使用している磁気ビーズ(Magnetic Particles M-270)はバックグラウンドタンパク質に対する非特異的結合が極めて低い、不活性な磁気ビーズです。したがって、VHH抗体が結合していない磁気ビーズを用いた「プレクリア処理」は必要ありません。GFP-Trap® Magnetic Particles M-270(磁気ビーズ標識GFP抗体)への非特異的結合を検証する場合には、GFP融合タンパク質を含まない細胞溶解物をコントロールに用意して、同様に免疫沈降(IP)を行ってください。