旧ChromoTek (クロモテック、ドイツ)社は、Nanobody®(ナノボディ)としても知られる、アルパカ由来のVHH抗体製品(アルパカ抗体)を主に販売しています。本稿では、VHH抗体の利点や発見の歴史について解説します。
背景
■ VHH抗体とは?
VHH抗体(Variable domain of Heavy chain of Heavy chain antibody)は、Nanobody® としても知られるラクダ科動物の「重鎖抗体(Heavy chain antibody、Heavy chain-only antibody)」に由来する抗原結合ドメイン(可変領域、Variable domain)です。一般的な抗体と比べて、10分の1程度とサイズが小さく、高い特異性と親和性を示すことで知られます。
■ VHH抗体の発見
単一抗原認識ドメインを持つ、軽鎖のない新しい抗体クラスは、1980年代後半に、ブリュッセル自由大学の科学者によって偶然発見されました。大学での実習中、生物学専攻学生Raymond HamersとCecile Castermanの2人が、たまたま実験室の冷凍庫にヒトコブラクダの凍結血清が数リットルあるのを発見し、この珍しい検体の抗体分離に意欲的に取り組んだことが始まりでした。その後、彼らは、免疫グロブリンの通常分布に加え、科学的に既知なものと一切一致しない小さな抗体群を発見しました。彼らは、その画分が単に「真」の抗体が劣化した抗体群であるとは考えず、さらに詳細に特性評価を始めました。そして遂に、単一抗原認識ドメインを持つ、軽鎖のない新しい抗体クラスを発見したのです(PMID:8502296 )。これらの抗体は後に、典型的な実験動物ではないラマ、アルパカを含む様々なラクダ科の種でも発見されました。(この発見物語についての詳細は、マイケル・グロス著『鳥と蜂とカモノハシ』(本邦未訳:Michael Gross著『The birds, the Bees and the Platypuses』)をお読みください。)
■ Proteintech Group(プロテインテック)とは?
Proteintech Group, Inc.(プロテインテック)社は、2001年に設立された抗体製造メーカーです。現在までに、米国本社の他、英国、中国、ドイツ、フランス、シンガポール等で支社を展開し、各国で様々なマーカー抗体、タンパク質研究用試薬を供給しています。国内におけるテクニカルサポート等は、2016年より株式会社プロテインテック・ジャパン(www.ptglab.co.jp )が担当しています。
- 全てオリジナル商品:自社ラボで製造、検証済み(購入後1年間の交換保証付き)
- 数多くの評判:国内・海外における累計122,300報以上の論文使用実績(2024年11月現在)
- 迅速な納期:約17,000品目を当社倉庫に国内在庫!
プロテインテックは「日本で成長している抗体サプライヤー」
プロテインテックとChromoTek(クロモテック、ドイツ)は、引用数ランキング付の抗体検索サイトを運営する英国「CiteAb 」が主催の「2022 CiteAb Awards」において「Researchers' choice(研究者の選択)」部門と「Environmental Initiative of the Year(今年の環境イニシアチブ)」部門でそれぞれ受賞者として選出されました。優れた品質およびカスタマーサービス、環境への取り組みが高く評価されています。
また「Which suppliers should you watch in the Japanese antibody market?(日本の抗体市場で注目すべきサプライヤーは?)」のブログ記事で、近年発表された論文中の製品引用数を根拠にプロテインテックが「日本で成長している抗体サプライヤー」として「注目に値するシェアの拡大・急上昇」を見せていると言及されています。以下のリンクから、プロテインテックの主なカテゴリー製品をご覧いただけます。
- [新製品のご案内]『MultiPro™(マルチプロ)』シングルセル解析用オリゴヌクレオチド標識抗体
- [値下げのお知らせ]Proteintech Group社「新価格」適用開始のご案内
■ ChromoTek®(クロモテック)製品は、2020年よりプロテインテックグループになりました。
プロテインテックグループにChromoTek®(クロモテック)が加わりました!
主に『アルパカ抗体(組換えVHH)』の製造を行う旧ChromoTek®(クロモテック、ドイツ)社の製品(https://www.ptglab.co.jp/products/chromotek-nanobody-based-reagents/ )は、2020年10月よりProteintech Group(プロテインテック 、米国)ブランドの一部になりました。緑色蛍光タンパク質(GFP)の免疫沈降(IP)実験で3,300報以上の文献実績を有する GFP-Trap® をはじめ、アルパカ由来の組換えVHH抗体は、高い親和性、特異性、および安定性を発揮します。
特長
■ VHH抗体の特長
このラクダ科の動物の抗体は、その構造(重鎖のみで構成され、軽鎖がない)に基づいて、重鎖抗体(HCAb:Heavy chain-only antibody)と命名されています。HCAbは、病理学的症例を除き、他の哺乳類には見られません。1995年、Greenbergらが、コモリザメで類似したHCAbを発見しましたが、進化論的分析により、ラクダ科の動物とサメのHCAbの進化は独立的であることが示されました(Greenbergら、1995年、PMID:7877689 )。そして、2011年、Flajnikらは、これらの小さな単一ドメイン抗原結合断片は、比較的大きな従来型抗体と異なり、他の方法ではアクセス不可能なエピトープ(酵素の触媒中心など)の標的化を可能にすると記載しています(Flajnikら、2011年、PMID:21829328 )。 重鎖抗体の断片抗原結合(Fab)部分は、軽鎖が存在しないため、単一ドメインに縮小しています。したがって、重鎖抗体(HCAb)は、単一ドメイン抗体(sdAb)クラスに属します。この単一ドメインは、VHHドメイン(重鎖抗体の可変ドメイン)またはNanobody®(ナノボディ)と呼ばれています。VHHドメインは、完全な抗原結合部位を含み、最小(約15kDa、従来型抗体のわずか10分の1の大きさ)の機能的抗原結合断片です。
■ VHH抗体の利点
VHH抗体の利点は、細菌中で容易に選択、生産することができるため、事実上、一貫した品質で無制限の供給を確保することです。また、VHH抗体は、従来型の抗体とは対照的に並外れた安定性も備えており、温度、カオトロピック剤、界面活性剤、グリセロール、塩、還元、pHの極端な条件にも耐えることができます。ChromoTekは、自社製単一ドメイン抗体断片由来製品の機能と構造を徹底して特性評価し、個々のVHHの適用と化学的および熱安定性を判定しています。さらに、製造から5年以上経過した一部のVHH抗体を検証したところ、未だ機能性が損なわれておらず、活性もほとんどまたは全く失われていないことが分かりました。
VHH抗体製品一覧
VHH-IgG 抗体製品
便利になって新登場!ウサギ/マウスIgG融合VHH
「ウサギIgGまたはマウスIgG1融合VHH抗体」です。VHHと従来型抗体の利点を併せ持つキメラ抗体であり、通常の二次抗体で検出できて便利な製品です。
VHH以外の抗体製品
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- ウサギ IgG 抗体標識キット
- マウス IgG1 抗体標識キット
- マウス IgG2a 抗体標識キット
- マウス IgG2b 抗体標識キット
- ラット IgG light chain(κ鎖)抗体標識キット
- ヒト IgG 抗体標識キット
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商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。
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