ページの本文へ移動

記事ID : 42244
研究用

バイオセンサーの開発に!ビオチン標識済みアルパカ由来抗イムノグロブリン抗体 Nano-CaptureLigand™(ナノキャプチャーリガンド)

このエントリーをはてなブックマークに追加

Nano-CaptureLigands™(ナノキャプチャーリガンド)は、ビオチン標識済みのアルパカ由来抗Ig(イムノグロブリン)抗体です。バイオセンサーやELISAアッセイにおいて、抗アナライト抗体(=リガンド)の部位特異的キャプチャー・固定化に使用できます。

高親和性&高特異性アルパカ組換えVHHバイオセンサー/ELISA開発に最適

背景

■ ラベルフリーのバイオセンサーについて

ラベルフリー(Label-free)のバイオセンサーは、生体分子相互作用の測定および特性評価のために広く普及しており、結合アッセイやスクリーニングに利用されます。バイオセンサー表面には主に抗体(=リガンド)がプローブされており、抗原(=アナライト/分析物)との相互作用によってシグナルを検知します。その解析では、親和性(affinity)やオンレート/オフレート(On-rate/Off-rate)を決定することが可能です。代表的なバイオセンサー装置としては、表面プラズモン共鳴(SPR)を測定原理とするCytiva社(旧GE Healthcare Life Sciences社)のBiacore™、バイオレイヤー干渉法(BLI)を測定原理とするSartorius社のFortéBio、switchSENSE法を原理とするDynamic Biosensors社のswitchSENSE®が知られています。

図1. BLIを用いた抗体(ウサギIgG)とその標的のカイネティクス解析。<br />ウサギIgGをキャプチャーするためにNano-CaptureLigand™をストレプトアビジンコートバイオセンサーチップに結合させた。
図1. BLIを用いた抗体(ウサギIgG)とその標的に対するカイネティクス解析。ウサギIgGキャプチャーするためにNano-CaptureLigand™ をストレプトアビジンコートのバイオセンサーチップに結合させた。

■ バイオセンサー表面へのリガンド固定化方法

センサー表面にリガンドを固定化する方法として、「直接固定化法」と「間接固定化法」が知られます。

  • 直接固定化法:リガンド中のリジン残基やシステイン残基中の官能基を利用した共有結合、またはクリックケミストリーを利用してバイオセンサー上に直接固定化する方法
  • 間接固定化法:最初に抗イムノグロブリンFcドメイン特異的な抗体をバイオセンサー上に結合させ、続けてリガンドをキャプチャー(捕捉)させることでバイオセンサー上に間接的に固定化する方法

間接固定化法では、抗イムノグロブリンFcドメイン特異的抗体やイムノグロブリン結合タンパク質(プロテインA、プロテインG、プロテイA/G)が使用されます。カイネティクス解析において、バイオセンサー上にリガンド(主に抗アナライト抗体)を安定かつ均一に配向することは重要であり、間接固定化法はいくつかの利点を提供します。

本稿では、アルパカ由来の抗イムノグロブリンVHH抗体『Nano-Capture Ligands™(ナノキャプチャーリガンド)』を紹介します。「間接固定化法」に利用され、部位特異的な結合によってリガンドの均一な配向を実現します。

図2.部位特異的な抗体固定化。
図2. 部位特異的な抗体固定化。

■ VHH抗体とは?

VHH抗体は、Nanobody® としても知られるラクダ科動物の「重鎖抗体(Heavy chain-only antibody)」由来の抗原結合ドメインです。一般的な抗体と比べて、10分の1程度とサイズが小さく、高い特異性と親和性を示すことで知られます。

図3. ラクダ科動物のユニークな重鎖抗体・VHH
図3. ラクダ科動物のユニークな重鎖抗体・VHH
図4. 従来の1/10ほどの分子量
図4. 従来の1/10ほどの分子量
 

■ Nano-CaptureLigand™(ナノキャプチャーリガンド)とは?

Nano-CaptureLigand™(ナノキャプチャーリガンド)は、ビオチンを標識したアルパカ由来抗イムノグロブリン(Ig)抗体です。アビジンやストレプトアビジンでコーティングされたバイオセンサー上に結合させ、その上に非ビオチン化抗体(各種イムノグロブリン、抗体断片)やFcドメイン融合タンパク質等のリガンドをキャプチャーさせることで、抗原や標的分子とするアナライトとの相互作用を解析できます。

■ Nano-CaptureLigand™ の利用

Nano-CaptureLigand™ は、バイオレイヤー干渉法(BLI:Bio-Layer Interferometry)や表面プラズモン共鳴法(SPR:Surface Plasmon Resonance)を原理としたバイオセンサー上へのリガンド(抗体やFc融合タンパク質)の捕捉、およびELISAマイクロプレート上への抗体捕捉に利用できます。バイオセンサーおよびELISAマイクロプレートはストレプトアビジンまたはアビジンでコーティングされている必要があります。

  • SPR(表面プラズモン共鳴法)
  • BLI(バイオレイヤー干渉法)
  • ELISA

Nano-Capture Ligands™ を利用した間接固定化法は、以下の利点を提供します。

  • リガンドの部位特異的な固定化
  • 再生可能、高い化学的安定性
    (キャプチャーしたリガンド分子をサイクル毎に除去可能)
  • 粗サンプル中の未精製モノクローナル抗体をキャプチャー可能
  • 容易に密度を調節可能

使用目的

■ アプリケーション

  • 抗体のカイネティクス・親和性の解析
  • ハイブリドーマ上清、血清、血漿等の粗サンプル中の抗体検出やスクリーニング
  • アナライト(抗体や抗原)の検出
  • エピトープビニング
    (Epitope Binning:取得した各モノクローナル抗体クローン同士で同じエピトープ領域を共有しているかどうかを検討するためのアッセイ方法)

■ バイオセンサー表面への抗体固定化

Nano-CaptureLigands™(ナノキャプチャーリガンド)は、表面プラズモン共鳴法(SPR)やバイオレイヤー干渉法(BLI)で使用されるストレプトアビジンまたはアビジンコーティングバイオセンサー上で非ビオチン化抗体を固定化します。Nano-CaptureLigands™(ナノキャプチャーリガンド)は、親和性が高いため、キャプチャーされた抗体の有意な解離を伴わずに、安定したベースラインを提供します。またNano-CaptureLigands™ は、化学的安定性が高いため、複数回の再利用のために10回以上再生することができます。一方で、従来の抗体は、ナノボディよりも安定性が低く、固定化されたキャプチャー用抗体(一般的なIgG抗体)は、頻繁に再生されない可能性があります。また、リガンド(抗体)のビオチン化やNHSとの反応を介した、センサー表面への直接固定化法は、抗体のパラトープを修飾し、アナライトに対するリガンドの親和性に影響を及ぼす可能性があります。

図5. 左:Nano-CaptureLigand™ を使用した抗体の部位特異的で固定化方法。抗体のビオチン化は必要ありません。キャプチャーされた全ての抗体は均一に配向します。右:リガンド抗体を直接ビオチン化する方法は、抗体のランダムな非配向的な固定化をもたらします。ランダムなビオチン化は、抗体のパラトープの修飾、ターゲットへの結合を損なう配向での抗体固定化をもたらす可能性があります。固定化抗体の一部のみが標的に結合します。
図5. (左)Nano-CaptureLigand™ を使用した抗体の部位特異的な固定化方法。リガンドとなる抗体のビオチン化は必要ありません。キャプチャーされた抗体は均一に配向します。(右)リガンドとなる抗体を直接ビオチン化する方法は、抗体のランダムで非配向的な固定化をもたらします。また、ランダムなビオチン化によって抗体のパラトープの修飾、ターゲットへの結合を損なう配向での抗体固定化を生じる可能性があります。固定化された抗体の一部が標的に結合します。

■ ELISAプレートへの抗体固定化

Nano-CaptureLigands™ は、サンドイッチELISA用のキャプチャー抗体を部位特異的に固定化します。Nano-CaptureLigands™ は、イムノグロブリン結合タンパク質(プロテインA、G、L)のような部位特異性とビオチン-ストレプトアビジン相互作用の安定性を併せ持ちます。イムノグロブリン結合タンパク質とは異なり、サブクラス特異的であるため、キャプチャー抗体および検出抗体ペアの組み合わせを幅広く検討することができます。また、Nano-CaptureLigands™ は親和性が高く、低濃度の抗体でも効率的に強い固定化を実現します。

図6. Nano-CaptureLigand™ を使用した抗体のELISAキャプチャー。(1)Nano-CaptureLigand™ をコーティング(2)キャプチャー抗体の固定化(3)抗原抗体反応(4)検出抗体の添加
図6. Nano-CaptureLigand™ を使用した抗体のELISAキャプチャー。
(1)Nano-CaptureLigand™ をコーティング(2)キャプチャー抗体の固定化(3)抗原抗体反応(4)検出抗体の添加

特長

  • 非ビオチン化抗体(イムノグロブリン)の部位特異的固定化
  • 目的リガンドに対する抗体をビオチン化せず、迅速にアッセイ可能
  • 高い特異性による選択的固定化
  • 安定したベースライン形成
  • 再生・再利用可能

製品一覧

■ Nano-CaptureLigand™(ナノキャプチャーリガンド)
ターゲット 標識 免疫動物 品名 アプリケーション 品番
ウサギIgG/ヒトIgG ビオチン(Biotin) Alpaca Alpaca anti-rabbit/human IgG, recombinant VHH, biotinylated [CTK0101(VHH0238)] BLI, SPR, ELISA shurbGB-1-10/shurbGB-1-100
ヒトIg Lambda, light chain Alpaca anti-human Ig, lambda, recombinant VHH, biotinylated [CTK0110(VHH0369)] shuLB-1-10 /shuLB-1-100
ヒトIgE Alpaca anti-human IgE, recombinant VHH, biotinylated [CTK0111(VHH0428)] shuEB-1-10/shuEB-1-100
マウスIgG1 Alpaca anti-mouse IgG1, recombinant VHH, biotinylated [CTK0103 (VHH0295)] smsG1B-1-10/smsG1B-1-100
マウスIgG2a Alpaca anti-mouse IgG2a, recombinant VHH, biotinylated [CTK0108(VHH0249)] smsG2aB-1-10/smsG2aB-1-100
マウスIgG2b Alpaca anti-mouse IgG2b, recombinant VHH, biotinylated [CTK0106] smsG2bB-1-10/smsG2bB-1-100
マウスIgE Alpaca anti-mouse IgE, recombinant VHH, biotinylated [CTK0112 (VHH0347)] smsEB-1-10/smsEB-1-100

Nano-CaptureLigand™(ナノキャプチャーリガンド)

バイオセンサー開発に最適」なナノキャプチャー抗体です(【10UL】または【100UL】の2種類の包装サイズから選択できます)。

品名 メーカー 品番 包装 希望販売価格
Anti IgG Fc-specific, Nano-CaptureLigandTM, recombinant VHH, Human (Alpaca) Biotin, CTK0101詳細データ PGI SHURBGB-1-10 10 UL
¥26,000
Anti IgG Fc-specific, Nano-CaptureLigandTM, recombinant VHH, Human (Alpaca) Biotin, CTK0101詳細データ PGI SHURBGB-1-100 100 UL
¥96,000
Anti Ig λ-LC-specific, Nano-CaptureLigandTM, recombinant VHH, Human (Alpaca) Biotin, CTK0110詳細データ PGI SHULB-1-10 10 UL
¥26,000
Anti Ig λ-LC-specific, Nano-CaptureLigandTM, recombinant VHH, Human (Alpaca) Biotin, CTK0110詳細データ PGI SHULB-1-100 100 UL
¥96,000
Anti IgE, Nano-CaptureLigandTM, recombinant VHH, Human (Alpaca) Biotin, CTK0111詳細データ PGI SHUEB-1-10 10 UL
¥26,000
Anti IgE, Nano-CaptureLigandTM, recombinant VHH, Human (Alpaca) Biotin, CTK0111詳細データ PGI SHUEB-1-100 100 UL
¥96,000
Anti IgG1 Fc-specific, Nano-CaptureLigandTM, recombinant VHH, Mouse (Alpaca) Biotin, CTK0103詳細データ PGI SMSG1B-1-10 10 UL
¥26,000
Anti IgG1 Fc-specific, Nano-CaptureLigandTM, recombinant VHH, Mouse (Alpaca) Biotin, CTK0103詳細データ PGI SMSG1B-1-100 100 UL
¥96,000
Anti IgG2a Fc-specific, Nano-CaptureLigandTM, recombinant VHH, Mouse (Alpaca) Biotin, CTK0108詳細データ PGI SMSG2AB-1-10 10 UL
¥26,000
Anti IgG2a Fc-specific, Nano-CaptureLigandTM, recombinant VHH, Mouse (Alpaca) Biotin, CTK0108詳細データ PGI SMSG2AB-1-100 100 UL
¥96,000
Anti IgG2b Fc-specific, Nano-CaptureLigandTM, recombinant VHH, Mouse (Alpaca) Biotin, CTK0106詳細データ PGI SMSG2BB-1-10 10 UL
¥26,000
Anti IgG2b Fc-specific, Nano-CaptureLigandTM, recombinant VHH, Mouse (Alpaca) Biotin, CTK0106詳細データ PGI SMSG2BB-1-100 100 UL
¥96,000
Anti IgE, Nano-CaptureLigandTM, recombinant VHH, Mouse (Alpaca) Biotin, CTK0112詳細データ PGI SMSEB-1-10 10 UL
¥26,000
Anti IgE, Nano-CaptureLigandTM, recombinant VHH, Mouse (Alpaca) Biotin, CTK0112詳細データ PGI SMSEB-1-100 100 UL
¥96,000

[関連]ChromoTek(クロモテック)抗体・関連製品

◆◇【春の特典キャンペーン】日頃のご愛顧に感謝を込めて、商品発送時にギフトをお届けします ◇◆

プロテインテック 春の特典キャンペーン2024 期間:2024年4月30日(火)まで好評

◆◇【最短翌営業日にお届け!】約2万点の国内在庫をご用意しています ◇◆

◆◇【高感度なIHC染色に!ポリマー試薬も新登場】Multi-rAb(マルチ・ラブ)二次抗体 ◇◆

Multi-rAb(マルチ・ラブ)カクテルタイプの組換え二次抗体バナー

◆◇ トライアルサイズ抗体購入者限定!次回購入時に使えるお得なクーポン配布中 ◇◆

プロテインテック社 一次抗体トライアルサイズ購入者限定!30%オフクーポン配布キャンペーン

◆◇【ELISAキット¥80,000/96ウェル】プロテインテックの免疫アッセイキット ◇◆

◆◇ cGMPグレードも選べる!ヒト細胞由来のサイトカイン・増殖因子 ◇◆

 HumanKine リコンビナントタンパク質

[シームレスな移行を実現!2つのグレードから選べます]

◆◇ 次世代ツールのナノ抗体!アルパカ由来のVHH抗体(Nanobody®)製品 ◇◆

ChromoTek(クロモテック)抗体・関連製品

◆◇【アプリケーションノート公開中】実績急上昇!FlexAble抗体標識キット ◇◆

FlexAble(フレクサブル)抗体標識キット

商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては使用しないように、十分ご注意ください。

お問い合わせ

「Nano-CaptureLigand™(ナノキャプチャーリガンド)」は、下記のカテゴリーに属しています。

メーカー・代理店一覧

サポート情報

SNSアカウント

オウンドメディア

※当社のWEBサイトはユーザーの利便性を最適にし、それを保証するためにクッキーを使用しています。
 このWEBサイトの利用を継続することで、クッキーの使用に同意することになります。

© COSMO BIO