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記事ID : 38712

AAT bioquest (ABD)社 カルシウムインジケーター Calbryte™シリーズ


Calbryte™シリーズは、細胞内カルシウムをモニタリングするために開発された蛍光色素のファミリーです。 Calbryte™520、Calbryte™590、Calbryte™630の3つのラインナップがあります。これらのインジケーターは、励起波長と発光波長が異なり、標準的な蛍光機器(蛍光顕微鏡、蛍光マイクロプレートリーダー、フローサイトメーター)を使用して検出できます。また、ハイスループットスクリーニングにも使用できます。

Calbryte™は、Fluo-3やFluo-4等の色素に比べてはるかに明るいシグナルとなっており、シグナルノイズ比が大幅に改善され、さらに細胞内での保持力が大幅に向上されています。

CHO-K1細胞を用いたATP応答の測定
図1 CHO-K1細胞を用いたATP応答の測定
Fluo-4AM(左)およびCalbryte™520 AM(右)を使用して測定を行った。 黒壁透明底96ウェルプレートにCHO-K1細胞を50,000細胞/ 100 µL/wellで播種し、一晩培養した。100 µLの10 µg/ml Calbryte™520 AM(プロベネシドを含むHHバッファー)または10 µg/ml Fluo-4 AM(プロベネシドを含むHHバッファー)を加え、37℃で45分間インキュベートした。(※Fluo-4 AMにはプロベネシドの添加が必要である為、比較の為にCalbryteにも添加しています。)次に、色素ローディング溶液を取り除き、200 µL HHバッファー/wellに交換した。 最終濃度10 µMとなるようATP(50 µL /ウェル)を加え、顕微鏡(Keyence)のFITCチャネルでイメージングを行った。

Calbryte™は生細胞でどのように機能しますか?

生細胞でのCalbryte?の機能

生細胞内のカルシウム濃度を分析する場合、好ましい方法は、アセトキシメチルエステル(AMエステル)官能基を持つCalbryte™を使用することです。理由は2つあります。

まず、AMエステルは脂溶性基であり、Calbryte™に結合すると、疎水度の高い化合物となります。この疎水度の向上により、Calbryte™AMエステルは無傷の脂質膜を容易に透過し、生細胞に浸透します。つまりエレクトロポレーション、マイクロインジェクション、または他の同様の破壊的なローディング技術が不要になります。

第二に、細胞内エステラーゼがAMエステル官能基を切断した場合にのみ活性化され、カルシウムに反応して蛍光を出します。これは非特異的なバックグラウンド蛍光を最小限にするために重要です。さらに、Fluo-3やFluo-4などの他のキレート剤とは異なり、Calbryte™はカルシウムへの結合時にはるかに大きな応答を示します。実験では、Fluo-4はキレート化すると100倍の増加しか示さないのに対し、Calbryte™プローブは、300倍を超える蛍光の増加を示しました。蛍光応答のこの劇的な改善により、過去のカルシウムインジケーターと比較して非常に強力なツールとなっています。

Calbryte™を使用する利点は何ですか?

プロベネシドなしの条件下における、Calbryte?520 AMおよびFluo-4 AMのカルバコール用量反応
図2 プロベネシドなしの条件下における、Calbryte™520 AMおよびFluo-4 AMのカルバコール用量反応
CHO-M1細胞を、黒壁透明底の96ウェルプレートに50,000細胞/ 100 µL /wellで播種し一晩培養した。100 µLの10 µg/ml Calbryte™520 AMを含むHHバッファー、または10 µg/ml Fluo-4を含むHHバッファーを添加し、37℃で45分間インキュベートした。次に、色素ローディング溶液を取り除き、200 µLのHHバッファー/wellに交換した。カルバコール(50µL/well)は、指定された最終濃度とする為にFlexStation 3によって添加した。

多くの研究者が知っているように、シグナルノイズ比が低いことはデータ分析の頭痛の種です。結果をノイズで膨らませ、潜在的に重要なデータをマスクし、アッセイごとに大きなばらつきをもたらします。このため試薬を選択する場合、優れたシグナルノイズ比を持つものが好まれます

過去の多くのカルシウムインジケーターを見ると、しばしば2つの問題に遭遇します。

1)生細胞に浸透するには親水性が高すぎるか、
2)生細胞に浸透するには十分に疎水性だがローディング中に溶液から析出するほど水溶性が低い、です。

Calbryte™シリーズは、水溶性官能基と前述のAMエステル基の量を最適化しバランスをとることによって、この問題に対処しています。

カルシウムインジケーターが生細胞実験でうまく機能しないもう1つの理由は、細胞の滞留が悪いためです。この原因はp-glycoprotein 1 (P-gp)と呼ばれるタンパク質ファミリーにあります。多くの細胞(よく研究されているHeLa細胞など)では、P-gpはATP依存性排出ポンプとして機能し、広範囲の小分子を細胞内から細胞外空間に積極的に排出します。活性化されたカルシウムインジケーターがこれらポンプを介して細胞から細胞外マトリックスに「漏出」する可能性があり、これは2つの問題を引き起こします。まず、漏出したカルシウムプローブが細胞外マトリックスの遊離カルシウムによって蛍光を発し、高いバックグラウンドやノイズの原因となります。また、細胞外空間へのプローブの漏出は、細胞内のプローブの減少をもたらし、結果としてシグナルの量が減少し、問題がさらに悪化します。

古典的な1つの解決策は、カルシウムインジケーターの使用と併せてプロベネシドを使用することです。チャネルブロッカーであるプロベネシドは、プローブの漏出を減らすことができます。しかしプロベネシドを使用することは、研究に未知の因子を導入するリスクがあります。 Calbryte™は、化合物全体のイオン電荷のバランスを慎重にとることで、プロベネシドなしで高性能を発揮するように設計されています。 プロベネシドフリーの条件下では、Calbryte™色素は、シグナルノイズ比でFluo-4よりも1桁優れています。

Calbryte™の最後の利点は、ハイスループットスクリーニング(HTS)および薬物発見アプリケーションに適していることです。 Calbryte™はこのような優れたシグナルノイズ比を持っているため、洗浄なしのフォーマットで使用できます(品番:36317をご覧ください)。さらに、プロベネシドの添加が必要ないため、Calbryte™は自動セットアップで簡単に使用できます。

現在どのようなCalbryte™が販売されていますか?

現在、Calbryte™は、Calbryte™520、Calbryte™590、およびCalbryte™630の3つの異なる波長で利用できます。

  • Calbryte™520は、Fluo-3やFluo-4などの従来の緑色蛍光インジケーターのアップグレード版です。この色素の最大励起波長は492 nmで、標準の488 nmアルゴンイオンレーザーとほぼ一致しています。また、最大蛍光波長が514 nmのこの色素は、ほとんどの蛍光機器にあるFITCフィルターセットと互換性があります。Calbryte™520は、Fluo-4とほぼ同じスペクトル値を持っているため、追加の機器設定は必要ありません。製品間のシームレスで便利な移行が可能です。
  • Calbryte™590は、Calcium Orange™やRhod-2などのオレンジ〜赤色の蛍光インジケーターのアップグレード版です。この色素は、580 nmに最大励起波長を持ち、555 nmのレーザーによって十分に励起されます。 592 nmに最大蛍光波長があるため、TRITC / Cy3フィルターセットと互換性があります。 Calbryte™590は、同等の条件下で、Rhod-2よりも約10倍カルシウムに敏感です。さらに、主にミトコンドリアに局在するRhod-2とは異なり、Calbryte™590は細胞質によく保持されます。
  • Calbryte™630は、X-Rhod-1などの赤色〜深赤色蛍光インジケーターのアップグレード版です。この色素の最大励起波長は608 nmで、594 nmのレーザーラインとよく一致します。この色素は、最大蛍光波長は624nmで、一般的なTexas®Redフィルターセットと互換性があります。 Calbryte™630は、緑の領域からのスペクトルの距離が長いため、iFluor 488、Alexa Fluor 488、GFPなどの緑の蛍光ラベルとのマルチプレックスに適しています。さらに、Calbryte™630の長い発光波長は、深部組織の研究に非常に適しています。これは、長波長の色素は多くの細胞層を透過しやすいのに対し、短波長の色素は透過しにくいためです。
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