天然物から生理活性化合物を見出すためのスクリーニング
生理活性のある化合物を見出すためのスクリーニングは、フレミングがペニシリンを発見した100年前頃まで遡ることできます。創薬分野における必要不可欠な工程として、スクリーニング技術の進展が見られ、現在では製薬企業において100万を超える化合物のスクリーニングが日常的に行われるようになりました
スクリーニングは、“釣り”に例えられることがあります。ライブラリと呼ばれる化合物の集団が“池”、目的に合致したサンプルを選び出すアッセイ系が“餌”です。魚のいない池に、どんなに良い餌を付けた釣り糸を垂らしても魚が釣れないように、スクリーニングにおいては、目的の化合物が含まれているライブラリを用いることが重要です。
生理活性を示す化合物を多く含むライブラリとして、古くから用いられたものに、天然物由来の抽出物ライブラリがあります。図に示すように、過去に開発された薬剤のおよそ半数が天然物から見出された化合物の構造を参考に開発されています。
このように生理活性を示す化合物を多く含む天然物由来抽出物ライブラリですが、人工合成化合物ライブラリとは異なる難しさあります。1)ひとつのサンプル(抽出物)に多数の化合物が含まれているため、アッセイ時に化合物の干渉作用があること、2)スクリーニングで陽性と判定されても、同じ理由から活性化合物が即座に特定できないこと、3)活性化合物が明らかになったのち、その化合物を精製しなければならないこと。これらが、研究者の天然物ライブラリの活用を遠ざけている要因になっています。そこで、当社にでは、生理活性化合物探索に有用な天然物ライブラリのスクリーニングをより多くの研究者に手軽に利用していただくため、以下の4つの受託サービスを提供しています。
1)天然物由来抽出物/分画物ライブラリの作製
2)天然物ライブラリを用いたスクリーニング
3)活性化合物の推定/同定
4)活性化合物の大量精製
最近、合成生物学という学問分野が注目されています。この分野においては、分子生物学、進化生物学、システム生物学、生物物理学等の多岐にわたる学問分野で得た知識を統合し、目的とする化合物を微生物等の生体内で大量に生産する技術を構築しています。本分野は天然物由来化合物の学術、産業への応用を広げる可能性を秘めています。私どもも、この技術を取り入れ、活性化合物を迅速かつ大量にお客様のもとへお届けできるようにすることが、今後の課題であると考えております。できるだけ早く、そのことについて皆様にお話しできるよう取り組んでまいります。
本稿をご提供いただきましたオーピーバイオファクトリー株式会社様に心より感謝申し上げます。
オーピーバイオファクトリー社 商品&受託サービス

- 超細分画 植物抽出物ライブラリ
Sepbox(自動HPLC および 分画システム;Sepiatec社製)を用いて、任意素材の抽出物を超細分画し、高分画高濃度ライブラリをご提供します。 - 抽出物・分画物ライブラリの受託作成サービス
ご要望に合わせた抽出物・分画物ライブラリ受託作成サービスです。 - 化合物の推定・同定 受託サービス
ステップごとにお客様と相談しながら、推定・同定を進めます。 - 活性化合物の推定(既知化合物の推定)
抽出物の分画からアッセイ、活性化合物の推定までを熟練の技術者が行います。 - スクリーニング・アッセイ全般 受託サービス
目的に合った試験系を構築します。