RNAscope™ は、FFPE 組織、凍結組織、培養細胞等のサンプル中の mRNA を、独自の RNA in situ ハイブリダイゼーション(ISH)法により検出・視覚化する新しいテクノロジーです。
技術情報
Advanced Cell Diagnostics(ADC)社 RNAscope™ 技術情報
RNAscope™ とは?よくわかる原理と手順を解説
RNAscope™ の概要
シンプルなワークフロー。
組織・細胞内のRNAを検出
- 各サンプルに最適化された条件で前処理(脱パラフィン、賦活化等)。
- ターゲットmRNAに特異的“ZZ”プローブペアをハイブリダイズ。
- PreAMP→AMP→標識プローブを順番に反応させてシグナルを増幅。
- 増幅したシグナルを発色法 or 蛍光法により検出、鏡顕。
<参考文献>
RNAscope™: a novel in situ RNA analysis platform for formalin-fixed, paraffin-embedded tissues.
Wang F, et al. (2012). J of Mol Diagnostics, 14(1), 22–29. [PMID:22166544]
シグナル増幅の原理
RNA1分子のシグナルを増幅
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Zプローブと呼ばれるプローブが2つ並んでターゲットRNAにハイブリダイズすることでZZペア
(50塩基程度/1ペア) を形成します。
※RNAscope™で検出するためには少なくとも6ZZ分 (300塩基程度) の配列が必要となります。
※ペア数はプローブ (品番) ごとに決まっております。
最大で20ZZペア/ターゲットですがペア数を指定することはできません。
メーカー独自のメカニズムにより各ターゲットごとにペア数が決定されます。
※提供されるプローブは、複数のZプローブの混合物 (例: 20ZZペアの場合は40種類のZプローブの混合物) となります。
※申し訳ございませんが、各Zプローブが認識する配列は非開示となっております。 - その後、ZZペア上部に1つのPreAmplifier
が結合し、そこに20個のAmplifier
が結合します。
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最終的に、1つのAmplifierに対して、20のラベルプローブ
が結合します。
このシグナル増幅の原理により、ターゲットRNA1分子の検出を可能にしています。

独自のプローブデザイン
バックグラウンドを低減するプローブデザイン
RNAscope™では、バックグラウンドを最小限に押さえるために、2つの独立したプローブ(ZZプローブ)が隣り合わせに結合した場合のみ、PreAmplifierが結合するようデザインされています。
片方のプローブのみ結合している場合(右図)は、PreAmplifierの結合が起こらないので、シグナルが増幅されず、プローブの非特異的な結合によるバックグラウンドノイズを低減し、シングル/ノイズ比を最大限に高めます。
Zプローブの構造

1つのZプローブは3つのパートから構成されています。
- Zプローブの下部はターゲットRNA配列に特異的な18-25 baseの相補的配列です。
この配列はターゲットへの特異性や均一なハイブリダイゼーション条件になるように選択されます。 - プローブの2つの領域をつなぐスペーサー領域
- Zプローブの上部は14 baseのtail領域です。
2つの隣接したZZプローブからなる2つのtail領域がPreAmplifierの結合領域を形成します。
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては
使用しないように、十分ご注意ください。