RNAscope™ in situ ハイブリダイゼーションは、様々な研究領域・ターゲットに対して使用可能です。 ここではいくつかのアプリケーションノートをご紹介いたします。
技術情報
Advanced Cell Diagnostics(ADC)社 RNAscope™ 技術情報
RNAscope™ アプリケーション情報
RNA in situ ハイブリダイゼーションと免疫染色を用いたアプリケーション例
分子機構をより深く理解するためには、免疫染色によるタンパク質の局在解析とともに mRNA の局在解析も重要になってきています。免疫染色(IHC)とRNA in situ ハイブリダイゼーション(ISH)は組織の形態を保持しつつターゲット分子を解析できる手法として、よく用いられてきました。多くの研究で、IHC と ISH はそれぞれの染色結果をバリデーション(検証)する方法として、また互いの情報をよりよく理解するために用いられています。
RNAscope™ と IHC との共染色例
RNAscope™ と免疫染色との共染色に関する資料
- RNAscope™ RED Assay and Immunofluorescence 322350
- RNAscope™ Multiplex Fluorescent V2 Assay combined with Immunofluorescence 323100
- RNAscope™ 2.5 LS Assay- BROWN Combined with Immunohistochemistry (IHC)
- RNAscope™ 2.5 LS Assay- RED Combined with Immunohistochemistry (IHC)
- 共染色についてエキスパートからのガイダンス資料
- 共染色を行っている論文リスト
- 共染色についてのウェビナー(動画)
ウェビナー情報詳細:
MAR 21, 2017 10:00 AM PDT WEBINAR: Application of combined RNA in situ hybridization and multiplex immunohistochemistry to unravel tumor heterogeneity in prostate cancer SPONSORED BY: Novus Biologicals a Bio-Techne Brand CONTINUING EDUCATION (CME/CE/CEU) CREDITS: P.A.C.E. CE | Florida CE
がんの存在を示すRNA バイオマーカーは、腫瘍に発現しているか、がんの存在に対する特異的な生体反応により産生される coding もしくは noncoding の RNA です。RNAscope™ は下記のような様々な目的で使用しています。保存組織の形態を保持しながらバイオマーカーの可視化を実現した事は、がんのリスク評価、診断、予後、疫学解析などに有用です。
がんの不均一性
腫瘍内もしくは腫瘍間において、様々な細胞が存在します。組織の形態を保持したまま細胞上のシングルコピーが検出できる RNAsope® の超高感度技術は、形態学的には同様に見える腫瘍細胞中の異なる遺伝子発現を可視化する事が出来ます。
がんのマクロ環境
腫瘍は様々な種類の細胞により構成されいてる複雑な組織です。隣接した正常細胞、細胞外基質、ケモカイン・サイトカインや成長因子とのコミュニケーションは、がんの進行や転移に重要な役割を担っています。RNAscope™ は複雑な自己分泌/傍分泌のメカニズムの解明に特に適しています。
血中循環腫瘍細胞(CTC: Circulating Tumor Cells)の検出
RNAscope™ の革新的な高特異性のシグナル増幅技術は、何百万という血液細胞が存在する中での CTC の検出と特徴付けを同時に可能にしました。
RNAGENCODE プロジェクト(ver.19, July 2013)からの最新の統計によると、ヒトゲノムはタンパク質をコードする遺伝子数(20,345)を凌ぐ 22.883 の non-coding RNA(ncRNA)を含んでおり、約30%(9,013)が 200 塩基に満たない small ncRNA です。残り約60%(13,870)の ncRNA は long non-coding RNAs(lncRNA)と定義されており、多様なメカニズムにより遺伝子発現の制御やクロマチン修飾、転写や翻訳制御に働いています。
LncRNA の異常調節は、腫瘍化だけでなく、神経疾患や心疾患や他の疾患に関わる事がわかっています。lncRNA は概してcoding RNA よりも発現が低いため、より高感度な ISH テクノロジーが必要となります。シングルコピーの検出が可能で簡便・迅速なプロトコールを持つ RNAscope™ は、特定の細胞や組織中の lncRNA の検出および局在解析に理想的なアッセイです。
近年の幹細胞研究では、細胞がどのように自己複製し特異的な組織へ分化するかや、どのようにリプログラミングされるかについて、in situ で様々な新たな発見が生み出されていますが、まだ未解明な部分が多く残っています。
幹細胞およびシグナル因子の同定
幹細胞がどこに位置し、分化シグナルがどこから来るのか? 抗体ベースのアプローチでは、分泌タンパク質を検出するには感度が足りません。PCR のような方法ですと感度は良いかもしれませんが、位置情報は失われます。
in vivo での幹細胞の機能
何故幹細胞に異なる細胞系譜が存在しているのか? それらの組織上の機能は何なのか?
幹細胞シグナルのバランス
何が増殖や分化を制御しているのか? 組織上でどのように異なる細胞の運命が決定されるのか?
臨床関連 - 疾患と関連した幹細胞
がん幹細胞の様に疾患に特徴的な幹細胞があるのか?
組織の形態を保持しながら高感度検出が可能な RNAscope™ は、上記を解明する手法として非常に有用で、幹細胞のマーカー分子とシグナル分子など、複数のターゲットを同時に検出できます。
ウイルス、バクテリア、寄生虫などのRNAをヒト組織上で検出・可視化できる in situ ハイブリダイゼーション(ISH)という手法は、感染症の病態や原因を解明するのに非常に有用なツールです。例えば、EB ウイルスを検出する手法としてヒト組織中の RNA ISH はゴールドスタンダードな手法となっています。EB ウイルスに潜伏感染した細胞はほぼ全て EBER-1 と EBER-2 の mRNA を高発現しているため RNA ISH で簡単に同定できます。これまでは RNA ISH の検出は、感度の限界により高発現しているターゲットに限られていましたが、シングルコピーが検出できる RNAscope™ テクノロジーにより、EB ウイルスだけでなく HPV や HIV 等、多くの感染症ウイルスの検出において RNA ISH が使用される事が期待されます。
注目論文!SIVウイルスRNA/ウイルスDNAを高感度検出
概要:
RNAscope™ を利用することによって、リンパ節でのSIV 感染ならびに残存状況を単一ウイルス粒子レベルで検出可能であることが示されました。本論文では、従来のISH法(R-ISH/C-ISH)との感度の違いが明確に示されており(Fig.1 参照 )、プロトコールを改良することでウイルスRNA(vRNA)の検出だけでは無く、感染細胞のゲノムに組み込まれたウイルスDNA(vDNA)の検出、さらにはvDNA/vRNAの同時検出も可能であることが示されています(Fig.6 参照)。
論文詳細:
Defining HIV and SIV Reservoirs in Lymphoid Tissues.
Deleage C et al, Pathog Immun. 2016 Spring;1(1):68-106. [PMID: 27430032]
商品は「研究用試薬」です。人や動物の医療用・臨床診断用・食品用としては
使用しないように、十分ご注意ください。