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ストレスと免疫・炎症の性差

Stress and Sex Versus Immunity and Inflammation

Perspectives

Sci. Signal., 12 October 2010
Vol. 3, Issue 143, p. pe36
[DOI: 10.1126/scisignal.3143pe36]

George P. Chrousos*

First Department of Pediatrics, Children's Hospital Aghia Sophia, University of Athens, Athens 115 27, Greece.

* Corresponding author. Telephone, 30-210-7794023; fax, 30-210-7759167; e-mail, chrousge@med.uoa.gr

要約:ストレス系の主要なエフェクターホルモンであるグルココルチコイドは、哺乳類の生理のほぼすべての面に対 して影響を及ぼす。これらのステロイドは、一つの組織内で発現されるゲノムの20%までにもおよぶ一次、二次および三次の標的遺伝子から成る大きなネット ワークに対して作用する。今回新たに、ラット肝のトランスクリプトームに対するグルココルチコイドの作用には、量的および質的な性差があるという証拠が得 られた。このことは、これらのホルモンの広範な作用が、標的組織の固有の特性として、またエストロゲンやおそらくはアンドロゲンに対するこれら組織の曝露 の結果として、性別によって調節されていることを示唆している。必ずではないが、一般的には、哺乳類の雌は雄に比べて、ストレスに対してより強い行動応答 と全身的な応答を示し、より強力な免疫応答と炎症応答を示す。この差は生来のものか、性ステロイドを介するものか、またはその両方であり、おそらくは雌雄 の役割が自然選択されてきた進化の産物であろうと思われる。

G. P. Chrousos, Stress and Sex Versus Immunity and Inflammation. Sci. Signal. 3, pe36 (2010).

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