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細胞膜のCa2+–ATPアーゼはストア作動性Ca2+流入により誘発される一過性Ca2+上昇のパターンを形作ることができる

Plasma membrane Ca2+-ATPases can shape the pattern of Ca2+ transients induced by store-operated Ca2+ entry

Research Article

Sci. Signal., 17 February 2015
Vol. 8, Issue 364, p. ra19
DOI: 10.1126/scisignal.2005672

Katalin Pászty1, Ariel J. Caride2, Željko Bajzer3,4, Chetan P. Offord5, Rita Padányi6,7, Luca Hegedűs8, Karolina Varga7,8, Emanuel E. Strehler4, and Agnes Enyedi6,7,8,*

1 Molecular Biophysics Research Group of the Hungarian Academy of Sciences and Department of Biophysics, Semmelweis University, Budapest H-1094, Hungary.
2 Hematology Research, Mayo Clinic College of Medicine, Rochester, MN 55905, USA.
3 Division of Biomathematics, Department of Physiology and Biomedical Engineering, Mayo Clinic College of Medicine, Rochester, MN 55905, USA.
4 Department of Biochemistry and Molecular Biology, Mayo Clinic College of Medicine, Rochester, MN 55905, USA.
5 Molecular Medicine Program, Mayo Clinic College of Medicine, Rochester, MN 55905, USA.
6 Hungarian National Blood Transfusion Service, Budapest H-1113, Hungary.
7 2nd Department of Pathology, Semmelweis University, Budapest H-1091, Hungary.
8 Institute of Molecular Pharmacology, Research Centre for Natural Sciences, Hungarian Academy of Sciences, Budapest H-1117, Hungary.

* Corresponding author. E-mail: enyedi.agnes@med.semmelweis-univ.hu

要約  カルシウム(Ca2+)は、細胞内の重要な補因子およびシグナル伝達媒介因子であり、細胞質のCa2+濃度は、ATPを使用して細胞外のCa2+を輸送する細胞膜Ca2+–ATPアーゼ(アデノシントリホスファターゼ)(PMCA)を含む複数のタンパク質によって調節される。PMCAアイソフォームは、異なる速度論的特性と制御特性を示し、このため、個々のアイソフォームの存在および相対量は、一過性Ca2+上昇および細胞応答を形作るのを助けうる。われわれは、ストア作動性Ca2+流入(SOCE)を刺激する条件により誘発された一過性Ca2+上昇に及ぼす3つのPMCAアイソフォーム(PMCA4a、PMCA4b、およびPMCA2b)の影響を調べ、それは、HeLa細胞、ヒト胚性腎臓(HEK)293細胞あるいはヒト臍帯静脈(HUVEC)から単離された初代内皮細胞における小胞体へのCa2+の取り込みを阻害した。ゆっくり活性化するPMCA4bアイソフォームは、SOCEに応答して長期持続性のCa2+振動を誘導した。速く活性化するアイソフォームPMCA2bおよびPMCA4aは異なる効果を生じた。PMCA2bは、SOCEによる一過性Ca2+上昇のPMCAの存在量に高感受性の迅速なクリアランスを導いたのに対し、PMCA4aは細胞質のCa2+を減少させ、細胞質Ca2+基準濃度よりも高い濃度を確立した。数理モデリングは、遅い活性化が「遅い」PMCA4bポンプにより誘導される持続的な振動に重要であることを示した。モデリングおよび実験結果は、PMCAアイソフォームの異なる特性がSOCEによる一過性Ca2+上昇のパターンを差次的に調節し、それが下流のシグナル伝達経路の活性化に影響を与えることを示した。

K. Pászty, A. J. Caride, Ž. Bajzer, C. P. Offord, R. Padányi, L. Hegedűs, K. Varga, E. E. Strehler, and A. Enyedi, Plasma membrane Ca2+-ATPases can shape the pattern of Ca2+ transients induced by store-operated Ca2+ entry. Sci. Signal. 8, ra19 (2015).

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