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A型インフルエンザウイルス感染中にMiz1がI型インターフェロンの産生を抑制してウイルス除去を制限する

Miz1 represses type I interferon production and limits viral clearance during influenza A virus infection

Research Article

SCIENCE SIGNALING
9 Apr 2024 Vol 17, Issue 831
[DOI: 10.1126/scisignal.adg7867]

Wenjiao Wu1, 2, 3, †, Vinothini Arunagiri1, †, Hanh Chi Do-Umehara1, Cong Chen4, Shuyin Gu2, Indrani Biswas1, Karen M. Ridge4, G. R. Scott Budinger4, Shuwen Liu2, 5, *, Jing Liu1, *

  1. 1 Department of Surgery, College of Medicine, Cancer Center, University of Illinois at Chicago, Chicago, IL 60612, USA.
  2. 2 Guangdong Provincial Key Laboratory of New Drug Screening, School of Pharmaceutical Sciences, Southern Medical University, Guangzhou, China.
  3. 3 Department of Pharmacy, Guangdong Second Provincial General Hospital, 466 Middle Xingang Road, Guangzhou 510317, Guangdong, China.
  4. 4 Division of Pulmonary and Critical Care Medicine, Feinberg School of Medicine, Northwestern University, Chicago, IL 60611, USA.
  5. 5 State Key Laboratory of Organ Failure Research, Southern Medical University, Guangzhou 510515, China.

* Corresponding author. Email: jinglius@uic.edu (J.L.); liusw@smu.edu.cn (S.L.)

† These authors contributed equally to this work.

Editor's summary

A型インフルエンザウイルス(IAV)に感染すると、感染した細胞とバイスタンダー細胞において抗ウイルス免疫を刺激するI型インターフェロン(IFN)をコードする遺伝子の発現が誘導される。Wuらは、これまでに抗菌応答の制御との関連が示されていた転写因子Miz1が、IAV感染マウスの肺上皮細胞に集積し、I型IFNをコードする遺伝子の発現を阻害することを明らかにした。IAV感染マウスにおいて不活性変異型Miz1を発現させると、I型IFNの産生が増加し、ウイルス除去が亢進した。これらのことは、抗ウイルス免疫抑制における、これまで認識されていなかったMiz1が果たす役割を浮き彫りにしている。—John F. Foley

要約

I型インターフェロン(IFN)は抗ウイルス免疫応答に重要であり、有害な免疫病理を引き起こすことなく効果的にウイルスを除去するためには、I型IFN産生の微調整が重要である。われわれは、マウス肺上皮細胞において転写因子Miz1がヒストンデアセチラーゼ1(HDAC1)をIfnaおよびIfnbのプロモーターに動員することにより、I型IFNをコードする遺伝子の発現をエピジェネティックに抑制することを明らかにした。A型インフルエンザウイルス(IAV)感染が認められている間、Miz1の機能喪失によりこれらの種類のI型IFNの産生が増大し、in vitroおよびin vivoにおけるウイルス除去が改善した。IAV感染は、Miz1を標的として分解に導くE3ユビキチンリガーゼMule(Mcl-1ユビキチンリガーゼE3、別名Huwe1またはArf-BP1)の、cullin-4B(CUL4B)を介したユビキチン化および分解を促進することで、Miz1の集積を誘導した。その結果としてMiz1の集積がI型IFNの産生を抑制し、ウイルス複製に優位に働いた。本研究から、抗ウイルス防御の調節においてこれまで認識されていなかったMiz1の機能、およびインフルエンザウイルスが宿主の免疫防御を回避するための潜在的機構が解明された。

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