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TNF-αシグナル伝達はドパミン輸送体およびL型Ca2+チャネルを刺激することによってメタンフェタミンのドパミン作動性作用を調節する
TNF-α signaling mediates the dopaminergic effects of methamphetamine by stimulating dopamine transporters and L-type Ca2+ channels

SCIENCE SIGNALING
16 Dec 2025 Vol 18, Issue 917
DOI: 10.1126/scisignal.ady8676
Landon M. Lin1, Marcelo Febo2, Adriaan W. Bruijnzeel2, Leah Phan1, Adithya Gopinath1, Jordan Seibold1, Emily Miller1, Habibeh Khoshbouei1, 3, *
- 1 Department of Neuroscience, University of Florida College of Medicine, Gainesville, FL 32610, USA.
- 2 Department of Psychiatry, University of Florida College of Medicine, Gainesville, FL 32610, USA.
- 3 McKnight Brain Institute, Gainesville, FL 32610, USA.
- * Corresponding author. Email: habibeh@ufl.edu
Editor's summary
メタンフェタミンは、依存に関与するドパミンの放出と、有害な神経炎症を引き起こすサイトカイン(TNF-αなど)の放出の引き金となる。Linらは、TNF-αもドパミンの放出を駆動することを明らかにした。マウスの脳切片およびニューロンでは、メタンフェタミンまたはTNF-αを添加すると、単独でCa2+流入と活動電位の発火を増大させ、それによってドパミン輸送体のリン酸化が引き起こされてドパミン流出が促進された。いずれの状況下でも、TNF-αシグナル伝達を遮断するとドパミン放出は抑制された。これらの知見は、中枢神経系に浸透するTNF-α阻害薬の開発が、メタンフェタミンの神経炎症性作用だけでなくメタンフェタミン依存症の治療法にもなる可能性があることを示している。—Leslie K. Ferrarelli
要約
依存性の高い覚醒剤であるメタンフェタミンは、脳の報酬回路においてドパミン放出量を増大させるが、メタンフェタミン乱用に伴う神経炎症に関与するTNF-αなどのサイトカインの放出も促進する。本稿でわれわれは、マウス腹側被蓋野(VTA)内のドパミン伝達が促進される際のメタンフェタミンとTNF-αの動的な相互作用を明らかにした。生体外のマウス脳切片およびドパミン作動性ニューロンでは、メタンフェタミンまたはTNF-αで処理すると、ドパミン放出量、細胞内Ca2+濃度、VTAドパミン作動性ニューロンの発火活性が高まった。これらの作用はドパミン輸送体(DAT)およびL型電位依存性Ca2+チャネルの活性に依存した。DATまたはTNF-αシグナル伝達のいずれかを薬理学的に阻害すると、これらの作用が軽減されたことから、メタンフェタミンに誘導されるVTAドパミン作動性ニューロンの変化は、TNF-αに部分的に依存することが示唆された。これらの結果は、ドパミン作動性回路の調節における神経免疫シグナル伝達の役割を強調するものであり、メタンフェタミン依存性とそれに伴う神経炎症性疾患に対処する治療戦略に情報を提供する可能性がある。
2025年12月16日号






