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ミクログリアの反応性と神経炎症誘発性動機付け行動変化はOrai1カルシウムチャネルにより調節されている
Microglial reactivity and neuroinflammation-driven changes in motivational behaviors are regulated by Orai1 calcium channels

SCIENCE SIGNALING
17 Feb 2026 Vol 19, Issue 925
DOI: 10.1126/scisignal.ady8398
Kaitlyn E. DeMeulenaere1, Rogan A. Grant2, Megan E. Martin1, Hiam A. Valencia2, Jelena Radulovic3, Michael W. Salter4, Murali Prakriya1, 5, *
- 1 Department of Pharmacology, Northwestern University Feinberg School of Medicine, Chicago, IL 60611, USA.
- 2 Division of Pulmonary and Critical Care Medicine, Department of Medicine, Northwestern University Feinberg School of Medicine, Chicago, IL 60611, USA.
- 3 Department of Neuroscience, Albert Einstein School of Medicine, Bronx, NY 10461, USA.
- 4 Hospital for Sick Children Research Institute, Toronto, Canada.
- 5 Division of Allergy and Immunology, Department of Medicine, Northwestern University Feinberg School of Medicine, Chicago, IL 60611, USA.
- * Corresponding author. Email: m-prakriya@northwestern.edu
Editor's summary
CNSの常在マクロファージであるミクログリアが介在する神経炎症は、神経疾患を引き起こし、その進行に寄与する可能性がある。DeMeulenaereらは、マウスにおける神経炎症に起因するうつ様行動には、ミクログリアのCa2+チャネルOrai1が重要であることを見いだした。この細胞型(ミクログリア)でOrai1を欠損するマウスのミクログリアは、CNS以外の全身性炎症(しばしば神経炎症を誘導する)に応答して抗炎症性の細胞状態にあると想定された。さらにこれらのマウスでは海馬の炎症が抑制され、対照マウスでみられるうつ様行動を示さなかった。これらの結果は、Orai1の阻害により、末梢およびCNSの炎症後の不適応行動を阻止できるかもしれないことを示唆している。—Wei Wong
要約
ミクログリアは恒常性状態と反応性状態との間の遷移により損傷および疾患に対して応答する、脳内に常在する免疫細胞である。このような細胞状態の遷移により、ミクログリアが中枢神経系(CNS)内で炎症を促進させるか収束させるかが決まる。この研究でわれわれは、幅広いミクログリアの細胞状態遷移の調節におけるCa2+シグナル伝達の役割を検討し、ミクログリアの可塑性と神経炎症のシグナル伝達の重要な制御因子としてOrai1 Ca2+チャネルが働いていることを明らかにした。ミクログリアにおけるOrai1のコンディショナル欠損は、反応性で炎症促進性の状態となる能力を阻害した。トランスクリプトミクスおよびメタボロームプロファイリングから、Orai1の欠損は、免疫、炎症および細胞代謝に関連する炎症促進性遺伝子の発現を抑制することが明らかになった。反対に、Orai1を欠損したミクログリアは、BDNF、ARG1およびミトコンドリア代謝物のイタコン酸を含め、神経保護的で抗炎症性のメディエーターを大量に産生した。末梢のリポ多糖(LPS)曝露により誘導したCNS炎症モデルにおいて、ミクログリアのOrai1欠損はミクログリアとアストロサイトの反応性を減弱し、炎症促進性サイトカインであるIL-1βとIL-6の海馬内の量を減少させた。これらの細胞性の変化に一致して、ミクログリアのOrai1ノックアウトマウスは、報酬探索行動と逃避行動の障害を含むLPS誘導性の動機付け行動の低下から保護されていた。これらの知見から、ミクログリア細胞状態の遷移の主要な調節因子としてOrai1が立証され、Ca2+シグナル伝達と、神経炎症および炎症誘導性の行動障害との関連性が示された。
2026年2月17日号






