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グルコース代謝は大腸がんにおいてグリコシル化した局所シグナル伝達因子を介して異常なSTAT3シグナル伝達を持続させる
Glucose metabolism sustains aberrant STAT3 signaling in colorectal cancer through glycosylated local signaling factors

SCIENCE SIGNALING
3 Mar 2026 Vol 19, Issue 927
DOI: 10.1126/scisignal.adz6443
Kathryn Buscher1, †, Kelsey Temprine2, †, Christopher Mays1, Noora Aabed1, Samuel A. Kerk1, 3, Hannah N. Bell1, Joseph A. Nieto Carrion1, Harrison S. Greenbaum1, 4, 5, Zheng Hong Lee1, 6, Varun Ponnusamy1, Sadeesh K. Ramakrishnan7, Costas A. Lyssiotis1, 8, 9, Xiang Xue10, *, Yatrik M. Shah1, 8, 9, *
- 1 Department of Molecular and Integrative Physiology, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
- 2 Department of Biomedical Sciences, Western Michigan University Homer Stryker M.D. School of Medicine, Kalamazoo, MI 49007, USA.
- 3 Doctoral Program in Cancer Biology, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
- 4 Medical Scientist Training Program, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
- 5 Cellular and Molecular Biology Program, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
- 6 Graduate Program in Immunology, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
- 7 Department of Medicine, University of Pittsburgh, Pittsburgh, PA 15261, USA.
- 8 Department of Internal Medicine, Division of Gastroenterology and Hepatology, Michigan Medicine at the University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
- 9 Rogel Cancer Center, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
- 10 Department of Biochemistry and Molecular Biology, University of New Mexico, Albuquerque, NM 87131, USA.
- † These authors contributed equally to this work.
- * Corresponding author. Email: XXue@salud.unm.edu (X.X.); shahy@umich.edu (Y.M.S.)
Editor's summary
大腸がん(CRC)の成長は、転写因子であるSTAT3の活性の持続的亢進に起因する場合が多い。STAT3は通常、サイトカイン刺激の下流で一過性に活性化される。Buscherらは、CRCにおけるSTAT3活性化が、N-グリコシル化と呼ばれる過程においてグルコース代謝物による翻訳後修飾を受けた分泌タンパク質によって維持されることを見出した。解糖、N-グリコシル化または小胞分泌を阻害すると、CRC細胞においてSTAT3活性が消失した一方、グルコース飢餓細胞にN-グリコシル化の構成要素を補充すると、STAT3が活性化された。これらの作用はサイトカインおよび負のフィードバック調節とは切り離されたことから、大腸腫瘍へのグルコース供給を減少させることで、STAT3誘導性の成長が効果的に制限される可能性があることが示唆された。—Leslie K. Ferrarelli
要約
JAK-STAT3シグナル伝達経路は、大腸がん(CRC)進行の主要なドライバーである。STAT3は、古典的にはIL-6などのサイトカインによって活性化される転写因子であり、負のフィードバック機構のためその活性化は一過性である。しかし、STAT3はCRCにおいて異常かつ持続的に活性化され、腫瘍細胞の増殖と生存を促進する。今回われわれは、グルコースが、サイトカインの可用性には依存せずに、STAT3活性化を持続させることを示した。グルコース代謝を操作することにより、グルコースとその下流の代謝物であるGlcNAcの両方が、STAT3活性化の維持に不可欠であることがわかった。さらに、基底STAT3活性が高い細胞が産生したタンパク質は、グルコース依存的にグリコシル化され、パラクリンシグナル伝達を介して隣接する細胞のSTAT3を活性化した。プロテオーム解析によって、この過程に関与する複数の候補タンパク質が同定されたが、単独でSTAT3を完全に活性化するのに十分なタンパク質はなかったことから、この活性化過程にはいくつかのグリコシル化タンパク質が必要であることが示唆された。CRCの同系マウスモデルでは、解糖の阻害により腫瘍におけるSTAT3活性化が低下し、STAT3の遺伝子欠失により腫瘍の成長が大幅に低下した。総合すると、これらの結果は、CRCにおいてグルコース代謝が持続的なSTAT3活性化を支持する仕組みを示し、治療標的となりうる代謝的脆弱性を明らかにしている。
2026年3月3日号






