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急性白血病における発がん性チロシンキナーゼシグナル伝達の動的フィードバック調節

Dynamic feedback control of oncogenic tyrosine kinase signaling in acute leukemia

Research Article

SCIENCE SIGNALING
10 Feb 2026 Vol 19, Issue 924
DOI: 10.1126/scisignal.adw5054

Jaewoong Lee1, 2, 3, 4, †, Ruifeng Sun1, 2, †, Kohei Kume1, Mark E. Robinson1, Zhangliang Cheng1, 2, Kadriye Nehir Cosgun1, Ning Ma4, Christian Hurtz5, Huimin Geng6, Selina M. Luger7, Mark R. Litzow8, Elisabeth Paietta9, Jianjun Chen4, Nagarajan Vaidehi4, Markus Müschen1, 2, *

  1. 1 Center of Molecular and Cellular Oncology, Yale University, New Haven, CT 06511, USA.
  2. 2 Department of Immunobiology, Yale University, New Haven, CT 06511, USA.
  3. 3 School of Biosystems and Biomedical Sciences, College of Health Science, Department of Integrated Biomedical and Life Science, Interdisciplinary Program in Precision Public Health, Korea University, Seoul 02841, South Korea.
  4. 4 Department of Computational and Quantitative Medicine and Department of Systems Biology, City of Hope Comprehensive Cancer Center, Duarte, CA 91010, USA.
  5. 5 Division of Cancer Sciences, Department of Basic Science, Loma Linda University, Loma Linda, CA 92354, USA.
  6. 6 Department of Laboratory Medicine, University of California, San Francisco, San Francisco, CA 94143, USA.
  7. 7 Division of Hematology-Oncology, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.
  8. 8 Division of Hematology-Oncology, Mayo Clinic, Rochester, MN 55905, USA.
  9. 9 Department of Oncology, Montefiore Medical Center, Bronx, NY 10467, USA.
  10. † These authors contributed equally to this work.
  11. * Corresponding author. Email: markus.muschen@yale.edu

Editor's summary

CD25は、T細胞表面のインターロイキン2(IL-2)受容体のサブユニットであるが、B細胞性急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)および急性骨髄性白血病(AML)のCD25発現細胞はIL-2に反応せず、臨床転帰不良と関連する。Leeらは、マウスおよび患者由来異種移植片を用いた実験により、急性白血病でCD25を欠失させると、発がん性チロシンキナーゼシグナル伝達の過剰亢進が引き起こされ、細胞の生存能と白血病発症能が低下することを明らかにした。PKCδによってCD25がリン酸化されると、阻害性ホスファターゼが動員されてチロシンキナーゼシグナル伝達の変動が安定化し、白血病の増殖が促進された。患者由来白血病を有するマウスは、CD25を標的とする抗体薬物複合体で処置すると寛解したことから、この経路がB-ALLおよびAMLの患者の治療のための研究対象となりうることを示している。—John F. Foley

要約

CD25は、T細胞およびナチュラルキラー(NK)細胞のインターロイキン2(IL-2)受容体のサブユニットである。発がん性チロシンキナーゼを有する急性白血病には、CD25+の白血病サブ集団が含まれることも多く、それが患者の臨床転帰不良の前兆にもなる。ただし、急性白血病細胞はIL-2に反応しない。本研究でわれわれは、急性リンパ性および骨髄性白血病において発がん性チロシンキナーゼシグナル伝達の変動を安定化させるフィードバックループの中心的要素として、CD25と、プロテインキナーゼCδ(PKCδ)によるCD25のリン酸化を同定した。マウスおよび患者由来異種移植片(PDX)の急性白血病モデルにおいてCD25遺伝子を破壊すると、連続移植を受けたマウスにおいてクローン適応度、コロニー形成、白血病発症能が低下した。白血病細胞の発がん性チロシンキナーゼシグナル伝達はNF-κBを介するCD25発現を促進したが、PKCδによってCD25がリン酸化されると、PTPN6などの阻害性ホスファターゼを介して発がん性チロシンキナーゼシグナル伝達が抑制された。インタラクトーム解析と質量分析に基づく網羅的リン酸化プロテオミクス解析では、CD25が欠損するとPTPN6のホスファターゼ活性が消失し、チロシンキナーゼおよびNF-κBの活性化が促進されることが示された。CD25抗体薬物複合体を4回注射すると、PDX難治性白血病を移植されたマウスが完全寛解した。これらの知見は、チロシンキナーゼに駆動される白血病が堅牢なフィードバック調節に依存することと、その構成要素の集積におけるPKCδおよびCD25の役割を浮き彫りにしている。

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