• ホーム
  • 潰瘍性大腸炎におけるサイトカインネットワークを解読して発症機構と治療標的を特定する

潰瘍性大腸炎におけるサイトカインネットワークを解読して発症機構と治療標的を特定する

Decoding cytokine networks in ulcerative colitis to identify pathogenic mechanisms and therapeutic targets

Research Article

SCIENCE SIGNALING
3 Feb 2026 Vol 19, Issue 923
DOI: 10.1126/scisignal.adt0986

Marton Olbei1, Isabelle Hautefort1, 2, 3, 4, John P. Thomas1, 5, Luca Csabai6, Balazs Bohar1, Sandra S. Koigi4, Hajir Ibraheim1, Aamir Saifuddin1, Diana Coman7, Emma Højmose Kromann7, Joana F. Neves7, Diana Papp1, 4, Nick Powell1, Dezso Modos1, 3, Tamas Korcsmaros1, 2, 3, 4, *

  1. 1 Department of Metabolism, Digestion, and Reproduction, Imperial College London, London W12 0NN, UK.
  2. 2 Earlham Institute, Norwich NR4 7UZ, UK.
  3. 3 Quadram Institute, Norwich NR4 7UZ, UK.
  4. 4 NIHR Imperial BRC Organoid Facility, Imperial College London, London W12 0NN, UK.
  5. 5 UKRI MRC Laboratory of Medical Sciences, Hammersmith Hospital Campus, London W12 0NN, UK.
  6. 6 Department of Genetics, Eotvos Lorand University, Budapest 1117, Hungary.
  7. 7 Centre for Host Microbiome Interactions, King’s College London, London WC2R 2LS, UK.
  8. * Corresponding author. Email: t.korcsmaros@imperial.ac.uk

Editor's summary

潰瘍性大腸炎は、サイトカインシグナル伝達の制御不全を特徴とする炎症性腸疾患である。TNFやIL-23Aなどのサイトカインを標的とする現在の治療法では、患者において持続的な効果が得られないことが多い。Olbeiらは、システム免疫学を用いて、治療歴のある患者、治療歴のない患者および健康ドナーの生検検体から得られた遺伝子発現データと、患者由来オルガノイドから得られたサイトカイン発現データを組み合わせて解析した。これらの結果により、疾患時および治療中のサイトカインネットワークの再配線に関する洞察が提供され、治療標的の候補として、TNFとIL-23Aの両方の上流に存在する制御性サイトカインのTL1Aが同定された。—John F. Foley

要約

潰瘍性大腸炎(UC)は、サイトカインシグナル伝達の制御不全を特徴とする消化管の慢性炎症性疾患である。UC患者の治療転帰は、サイトカイン標的療法の登場にもかかわらず依然として最善とはいえず、UC患者において撹乱されている、相互接続されたサイトカインシグナル伝達ネットワークをよりよく理解することが必要である。これに対処するため、われわれは、治療歴のないUC患者と治療歴のあるUC患者の結腸生検検体から得られた単一細胞トランスクリプトミクスデータを用いて、システム免疫学モデリングを行い、推定上のサイトカイン間相互作用を土台として複雑なサイトカインシグナル伝達ネットワークを構築した。生成されたサイトカインネットワークは、既知の生理学的に関連のあるサイトカイン間相互作用を効果的に捕捉し、これらの相互作用について、in vitroでUC患者に由来する結腸上皮オルガノイドにおいて、またオルガノイドを自然リンパ球系細胞と共培養して検証した。これらのネットワークは、UC発症のこれまで認識されていなかったいくつかの側面を明らかにした。すなわち、治療歴のないUC患者に特有のサイトカインサブネットワーク、UCのすべての疾患状態にわたって相互作用パターンが変化したサイトカイン(IL-22、TL1A、IL-23A、OSMなど)、ヤヌス関連キナーゼ(JAK)ファミリーの特異的なメンバーによって仲介されるサイトカイン間相互作用などが特定された。とくに、われわれのネットワーク解析では、TL1Aが、TNFおよびIL-23A(いずれも承認UC治療薬の標的)の重要な上流制御因子として位置付けられ、治療標的となる可能性が示唆された。総合すると、これらの結果は、UCにおける今後のサイトカイン標的治療アプローチを導くいくつかの道を開くものであり、提示した方法は、他の免疫介在性炎症性疾患に関する同様の洞察を得るために容易に応用可能である。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2026年2月3日号

Research Article

潰瘍性大腸炎におけるサイトカインネットワークを解読して発症機構と治療標的を特定する

胎児栄養膜細胞マーカーHLA-Gは受容体KIR2DL4を介して一次NK細胞におけるI型インターフェロン応答を活性化する

最新のResearch Article記事

2026年02月17日号

GPR97/ADGRG3のテザーアゴニストによる活性化は好中球の極性化と遊走を誘導するが、ベクロメタゾンではそのような作用は認められない

2026年02月17日号

ミクログリアの反応性と神経炎症誘発性動機付け行動変化はOrai1カルシウムチャネルにより調節されている

2026年02月10日号

トリプルネガティブ乳がんではmTORC2構成要素PRR5によるIQGAP1の安定化が分裂促進性のLINC01133-ERKシグナル伝達を媒介している

2026年02月10日号

急性白血病における発がん性チロシンキナーゼシグナル伝達の動的フィードバック調節

2026年02月03日号

潰瘍性大腸炎におけるサイトカインネットワークを解読して発症機構と治療標的を特定する