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トリプルネガティブ乳がんではmTORC2構成要素PRR5によるIQGAP1の安定化が分裂促進性のLINC01133-ERKシグナル伝達を媒介している
Stabilization of IQGAP1 by the mTORC2 component PRR5 mediates mitogenic LINC01133-to-ERK signaling in triple-negative breast cancer

SCIENCE SIGNALING
10 Feb 2026 Vol 19, Issue 924
DOI: 10.1126/scisignal.adr4063
Zhenbo Tu1, *, Leah Moses1, Yi Hu1, Sworaj Sapkota1, Liza M. Quintana1, Leismi Guerrero1, George W. Bell2, Antoine E. Karnoub1, 3, 4, 5, *
- 1 Department of Pathology and Cancer Center, Beth Israel Deaconess Medical Center, Harvard Medical School, Boston, MA 02215, USA.
- 2 Whitehead Institute for Biomedical Research, Cambridge, MA 02142, USA.
- 3 Harvard Stem Cell Institute, Cambridge, MA 02138, USA.
- 4 Broad Institute of MIT and Harvard, Cambridge, MA 02142, USA.
- 5 Boston Veterans Affairs Healthcare System, Boston, MA 02132, USA.
- * Corresponding author. Email: ztu@bidmc.harvard.edu (Z.T.); akarnoub@bidmc.harvard.edu (A.E.K.)
Editor's summary
長鎖遺伝子間ノンコーディングRNAであるLINC01133の存在量が多くなると、mTORC2構成要素であるPRR5を介してトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の増殖が促進され、AKTシグナル伝達が活性化される。しかしTuらは、TNBCの細胞増殖を抑制するためにはAKT阻害薬のみでは有効でないことを明らかにした。AKTを活性化することに加え、LINC01133により安定化されたPRR5が、足場タンパク質IQGAP1をプロテアソームによる分解から保護し、ERKシグナル伝達の亢進をもたらしていた。複数のTNBC細胞株において、AKT阻害薬とERK阻害薬の併用がクローン性増殖および3次元スフェロイドにおける増殖を効果的に抑制したことは、これら薬剤の併用またはPRR5標的薬の開発が患者に有効である可能性を示唆している。—Leslie K. Ferrarelli
要約
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)には、その増殖と進展を阻害できる標的薬がない。長鎖遺伝子間ノンコーディングRNAであるLINC01133は、proline-rich protein 5(PRR5:PI3Kに依存せずmTORC2依存的にキナーゼAKTを活性化するmTORC2構成要素)の存在量を増加させることで、TNBCの病態形成を促進する。しかし本稿でわれわれは、PRR5はマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)カスケードもmTORC2依存的に刺激したことから、TNBC細胞増殖はAKT阻害薬単体に対して完全な感受性を示さないことを明らかにした。PRR5は、MAPキナーゼERKの活性化を促進するアダプタータンパク質であるIQGAP1と会合し、プロテアソームによるユビキチン依存性のIQGAP1分解を阻害した。ERKシグナル伝達は、2次元および3次元培養においてLINC01133を介したTNBCの増殖に不可欠であり、ERK阻害薬はAKTの阻害と相乗作用して、LINC01133誘導性TNBC細胞増殖を抑制した。さらに、TNBC患者の検体ではPRR5が特に豊富に存在し、その存在量はリン酸化ERKの存在量と相関していた。これらの結果から、LINC01133とPRR5の下流にあるmTORC2とERKシグナル伝達間のクロストークが明らかにされ、これがTNBCの治療標的になる可能性が示された。
2026年2月10日号






