ミルクに含まれているタンパク質には、栄養的な機能だけではなく、これまで想像さえできなかった様々な生物学的な機能が見出されつつあります。このような機能性ミルクタンパク質の代表的なものであるラクトフェリンを例として、でき得る限り広く記述しようと試みました。幸いなことに、ラクトフェリンはそれ自体、あるいは他の物質と共同的に非常に多くの生物学的活性を示すことが知られています。そこで本編においてもラクトフェリンを題材として記述しましたが、その機能の全てを網羅できたわけではありません。また本書の構成上、ラクトフェリン以外のミルクタンパク質の機能については、多くを触れることは出来ませんでしたが、測定方法や考え方などについては応用できると思われます。なお、本文で説明し切れなかった一般的な事項についてはなるべく問題に含めるようにしました。
また、2004年10月30日に第1回ラクトフェリンフォーラムが開催され、その記録集が日本酪農科学会誌「ミルクサイエンス」の特集号(54巻4号)として発刊されることを付記します。
(2005年1月 記)