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エルサレムに鳴り響く「ジングルベル」ならぬ「ジンク(亜鉛)ベル」

Zinc Bells Rang in Jerusalem!

Meeting Reports

Sci. Signal., 6 July 2010
Vol. 3, Issue 129, p. mr2
[DOI: 10.1126/scisignal.3129mr2]

Michal Hershfinkel1, Elias Aizenman2, Glen Andrews3, and Israel Sekler4*

1 Department of Morphology, Ben Gurion University, Beer Sheva, 84105, Israel.
2 Department of Neurobiology, University of Pittsburgh School of Medicine, Pittsburgh, PA 15261, USA.
3 Department of Biochemistry and Molecular Biology, University of Kansas Medical Center, Kansas City, KS 66160, USA.
4 Department of Physiology, Ben Gurion University, Beer Sheva, 84105, Israel.
A report on the Meeting of the International Society for Zinc Biology, Jerusalem, Israel, 1 to 5 December 2009.

* Corresponding author. E-mail: sekler@bgu.ac.il

要約:「ああ、黄金のエルサレム、青銅と光の街よ...」と歌う有名な曲がある。しかし、エルサレム旧市街から城壁を挟んで目と鼻の先にあるミシュケノット・シャアナニームで開催されたInternational Society for Zinc Biology(ISZB、http://www.iszb.org/) 学会の期間中、エルサレムの街の景観のなかで燦然と輝いたのは、黄金でも青銅でもなく、別の金属であった。2009年12月1日〜5日、100人を超える 科学者がこの地に集い、亜鉛生物学の研究について議論した。亜鉛は「両刃の剣」である。亜鉛補給は、創傷治癒や成長を早め、免疫応答の効率を高める。一方 で、亜鉛欠乏症は、発達遅延や学習・記憶機能障害を招くのに加えて、気分障害とも関連付けられている。しかし、細胞レベルでは、制御不良による亜鉛濃度の 上昇は、神経細胞死を引き起こすことがあり、神経変性疾患に関与する可能性がある。さまざまな細胞内シグナル伝達経路の調節を介して、亜鉛は細胞増殖を加 速することができ、がんに寄与することもある。しかし、この金属の生理学的・臨床的な重要性にもかかわらず、このような作用の分子基盤に関する研究は、ま だ始まったばかりである。2009年のISZB学会は、亜鉛関連のさまざまな問題に取り組む研究者にとって、自分たちの考えやアイデアを共有し、この研究 分野の発展を促す場となった。

M. Hershfinkel, E. Aizenman, G. Andrews, I. Sekler, Zinc Bells Rang in Jerusalem! Sci. Signal. 3, mr2 (2010).

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