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脂質のシグナル伝達とホメオスタシス:PA(ホスファチジン酸)はPA-Hより優れている、ではPIP(ホスファチジルイノシトールリン酸)は?

Lipid Signaling and Homeostasis: PA-Is Better than PA-H, But What About Those PIPs?

Perspectives

Sci. Signal., 7 December 2010
Vol. 3, Issue 151, p. pe46
[DOI: 10.1126/scisignal.3151pe46]

Nicholas T. Ktistakis*

Signalling Programme, Babraham Institute, Cambridge CB22 3AT, UK.

* Corresponding author. E-mail, nicholas.ktistakis@bbsrc.ac.uk

要約: 細胞の膜は何百という異なる脂質種から成り、この脂質組成は狭い範 囲内に維持されている。酵母におけるこのようなホメオスタシスを保つための調節回路は、膜に結合している転写抑制因子に依存する。そのような転写抑制因子 は膜上のその脂質リガンド量に応じて核に移行する。さらに、この脂質リガンドは転写因子の活性の最終産物でもあるので、この系内でフィードバック制御が働 く。このような制御系の基本的なデザインはショウジョウバエ(Drosophila)や哺乳類等の高等真核生物でも認められるが、重要 な違いは、脂質が感知されること、そのセンサーの組成、さらにその反応が微調整されている点である。新たな研究によって、酵母では、利用できるグルコース によって細胞内pHレベルが調節され、これが脂質リガンドへの抑制因子の結合を微調整している可能性があり、リン脂質代謝と栄養センシングとをつなぐ機構 になっていることが示唆された。この経路で示されたpHの影響の重要性は、脂質やそのエフェクターのプロトン化状態によってさらなる脂質シグナル伝達経路 が調節されている可能性を提起している。

N. T. Ktistakis, Lipid Signaling and Homeostasis: PA-Is Better than PA-H, But What About Those PIPs? Sci. Signal. 3, pe46 (2010).

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