V5タグとは?
V5タグ(V5-tag)とは、14残基のアミノ酸配列「GKPIPNPLLGLDST(Gly Lys Pro Ile Pro Asn Pro Leu Leu Gly Leu Asp Ser Thr)」からなる短鎖ペプチドタグです。V5タグは、クローニング技術によりタグ融合タンパク質として組換え発現させることが可能であり、V5タグ融合タンパク質は、V5タグに対する抗体やVHH抗体(別名:Nanobody®)を用いることでELISA、フローサイトメトリー、免疫沈降、免疫蛍光染色、ウェスタンブロット等の実験手法により検出や精製を実施することができます。V5タグは、シミアンウイルス5(パラミクソウイルス科、SV5:simian virus 5)のRNAポリメラーゼのαサブユニットに関与するPタンパク質およびアクセサリータンパク質であるVタンパク質に共通のN末端配列に存在する95番目から108番目のアミノ酸配列に由来し、1992年の論文で最初に記載されました
[PMID:1372038
]。
V5タグペプチドを認識する、様々なポリクローナル抗体やモノクローナル抗体、およびVHH抗体(Nanobody®)が市販されています。V5タグ抗体によって捕捉されたV5タグ融合タンパク質は、通常はグリシンやクエン酸バッファーを用いる酸溶出法、またはV5タグペプチド(配列:GKPIPNPLLGLDST)を用いるペプチド競合溶出法によって、溶出させることができます。免疫沈降を実施する場合、ChromoTek(クロモテック、ドイツ:2020年10月よりプロテインテックグループの一部)の『V5-Trap®
』を推奨します。V5-Trap®は各種担体(アガロースビーズ、磁性アガロースビーズ、磁気ビーズ)を結合させたアルパカ由来の抗V5タグ VHH抗体(Nanobody®)からなる高い親和性と特異性を示す製品です。
■ VHH抗体とは?
VHH抗体は、Nanobody® としても知られるラクダ科動物の「重鎖抗体(Heavy chain-only antibody)」由来の抗原結合ドメインです。一般的な抗体と比べて、10分の1程度とサイズが小さく、高い特異性と親和性を示すことで知られます。

図. ラクダ科動物のユニークな重鎖抗体・VHH

図. 従来の1/10ほどの分子量
■ Nano-Trapとは?
Nano-Trap(ナノトラップ)は、迅速かつ効率的な免疫沈降(IP)に最適です。各種担体(アガロースビーズ、磁性アガロースビーズ、磁気ビーズ)に結合したVHH抗体で構成されます。
各種ビーズ上に結合したVHH抗体は、ビーズ上に残存し、SDSサンプルバッファー中で溶出されません。したがって、従来のIP解析でしばしば問題となるIP抗体由来の軽鎖または重鎖バンドの干渉が無く、シングルバンドの精製を可能とします。さらに、ウエスタンブロットに使用する一次抗体/二次抗体を自由に選択できます。
■ Nano-Trapのアプリケーション
- IP(免疫沈降)/ CoIP(共免疫沈降)
- ChIP(クロマチン免疫沈降)/ RIP(RNA免疫沈降)
- 質量分析(Mass spectrometry)
- On-bead enzyme assay

図. Nano-Trap(左)と従来型であるProtein A/G結合IgG抗体(右)を用いた免疫沈降の概要。Nano-Trapでは、単一のバンドを得られ、従来型とは異なり軽鎖/重鎖由来のバンドは観察されません。
■ Proteintech Group(プロテインテック)とは?
Proteintech Group, Inc.(プロテインテック)社は、2001年に設立された抗体製造メーカーです。現在までに、米国本社の他、英国、中国、ドイツ、フランス、シンガポール等で支社を展開し、各国で様々なマーカー抗体、タンパク質研究用試薬を供給しています。国内におけるテクニカルサポート等は、2016年より株式会社プロテインテック・ジャパン(www.ptglab.co.jp
)が担当しています。
- 全てオリジナル商品:自社ラボで製造、検証済み(購入後1年間の交換保証付き)
- 数多くの評判:国内・海外における累計130,300報以上の論文使用実績(2025年4月現在)
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