総説:サイクリン依存性キナーゼによる負の制御
細胞周期は、分裂と複製の進行を制御する一連のチェックポイントによってコントロールされています。サイクリン依存性キナーゼ(CDK)は、細胞周期の主要な調節因子です。これら酵素は分子量が小さく、ペプチド配列の多くがプロテインキナーゼドメインであり、サイクリン調節サブユニットと相互作用することで、酵素活性やターゲット特異性を示します。サイクリン調節サブユニットであるサイクリンは、合成と分解の変動を介してCDK機能の一時的な制御をしています。
CDKのリン酸化状態もCDK自身の制御に関わっています。CDK1(別名、Cdc2)は、二重特異性キナーゼであるWEE1(または卵母細胞のWEE2)によってTyr15およびThr14がリン酸化され、CDK機能が阻害されます。その結果、細胞周期が停止します。細胞周期は、p27KIP1やp21CIP1などのサイクリン依存性キナーゼ阻害剤(CKI)タンパク質によっても制御されています。CKIは、CDK / サイクリン複合体との直接的な相互作用を通じて細胞周期の進行を停止します。p27KIP1は、CDK / サイクリン複合体がヒストンH1をリン酸化するのを防ぎ、さらに、このCKIの過剰発現は、細胞周期のS期への移行を抑制します 1)。腫瘍抑制因子p53の重要な転写ターゲットであるp21CIP1は、サイクリンD1とD3の結合パートナーとして同定され、その後、このCKIがすべてのサイクリン-CDK複合体を阻害することが明らかになりました。哺乳動物細胞におけるp21CIP1の過剰発現は、増殖を抑制します 1)。
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