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発生
単球によって定められるリンパ管の部位

Development
Lymph Vessel Sites Defined by Monocytes

Editor's Choice

Sci. Signal., 23 March 2010
Vol. 3, Issue 114, p. ec85
[DOI: 10.1126/scisignal.3114ec85]

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

リンパ管は免疫応答や食事性脂肪の吸収にとって重要であり、血液循環の管と近接してはいるがまったく別個の系を形成する。ただし、リンパ系が静脈循 環系につながる例外的な部位が2つだけある。成体マウスでは、骨髄系細胞がリンパ管新生を促進する増殖因子である血管内皮増殖因子CおよびD(VEGF- C、VEGF-D)の発生源であるが、骨髄系細胞がリンパ系の胚発生に果たす役割は不明である。マウスにおける受容体チロシンキナーゼSykのノックアウ トは、広範囲に及ぶ血管‐リンパ管の奇形と適切な分離の欠如のために胚性致死である。Bohmerらは、Syk-/-胚の形態的異常について詳細に検討し、リンパ管過形成が血管内皮細胞とリンパ管内皮細胞(LEC)の広範な接触を引き起こすことを見いだした。遺伝子を利用した追跡(Sykプロモーターによって制御されるレポーターの導入)によって、著者らは、LECがSykを発現するのではなく、マーカー解析と形態学から主に特異的な型の単球、M2単球と特徴付けられる細胞にSykが存在することを明らかにした。Syk-/-マウス胚の皮膚ではこれらの単球の存在量が増大しており、Syk-/-皮膚の単球はin vitroでマウス内皮細胞の発芽を刺激した。Syk-/-マウスの皮膚の単球では、VEGF-Dを含む複数の血管新生増殖因子の転写物存在量が増大していた。皮膚移植モデルでは、野生型とSyk-/-両 方の皮膚の単球にリンパ管新生活性が認められ、ノックアウト細胞はより低い細胞密度でより多くの枝の発芽を刺激した。野生型細胞のノックアウト細胞のリン パ管新生能は、VEGF-CとVEGF-Dの活性の阻害によって阻止された。このように、発生時には皮膚の骨髄系細胞がリンパ管新生を促進する血管新生因 子を放出し、Sykの欠損はこれらの因子の産生を増大させ、リンパ管内皮細胞の異常増殖を引き起こす。

R. Böhmer, B. Neuhaus, S. Bühren, D. Zhang, M. Stehling, B. Bock, F. Kiefer, Regulation of developmental lymphangiogenesis by Syk+ leukocytes. Dev. Cell 18, 437-449 (2010). [PubMed]

N. R. Gough, Lymph Vessel Sites Defined by Monocytes. Sci. Signal. 3, ec85 (2010).

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2010年3月23日号

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発生
単球によって定められるリンパ管の部位

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